66話
「はいはい、おしゃべりは終わり。どうやら見つけたようだよ」
光球が向かう方に自然にできた洞窟が見えた。この中にネクロマンサーが潜んでいるはずだ。
「あたしが先頭、戦士のあんたが2番目で次がミック。魔法使いのあんたが一番後ろの隊列で行くよ」
ミックは松明に火を付ける。洞窟は風が流れる程深いようで、敵の本拠地にこれから入るのかと思うと緊張する。
「罠があるかもしれないから、周囲には気を付けるんだよ。魔法使いは出来るだけ消費を抑えつつ、魔力探知を続けて」
魔法使いは光球を消すと、今度は魔力の空間でミックたちを包んだ。一瞬ピりっと全身に刺激が走ったが、これが自分たちを魔力で覆った証拠らしい。
「この魔法で包まれる感覚は苦手だ。全身が痒くて仕方ねえ」
戦士がそう愚痴るが、安全には代えられない。アンジーが言った通りの隊列で洞窟の奥へと進む。
「道の所々に魔法陣が書かれてるわ。多分罠じゃなくて、踏んだ侵入者を知らせる物ね」
魔法陣が仕込まれてる箇所を魔法使いが指示する。よく見ると、確かに土の上に紋様の様な物が直接刻まれている。
「魔法陣はこうやってあらかじめ書いた物に触れたりすると効果が出る。昔、魔物を誘い出して倒す時に仲間の魔法使いが使ったのを見たことがあるわ」
アンジーがそう説明する。そういう使い方がある事をミックは初めて知った。
「やっぱり魔法って便利なんですね」
「他にも、武器や防具自体に魔法を付与する物なんかもあるけど……お話はお終い」
急に開けた場所に出た、篝火が四方に置かれており、かなり広い。そしてローブを纏った人間が5人そこで待ち構えていた。
「魔法陣は全部避けてきたはずだけど、ネクロマンサー共はあたしたちが来るのを知っていたようだね」
「ちょっと待ってください、あの人は……!」
待ち構えていたネクロマンサーたちの中で知っている顔があった。ネクロマンサー退治をしようとしていたリサだ。
「リサさんが何でここに? それにどうしてネクロマンサーたちと同じ格好を?」
捕まっている可能性は考えていたが、ネクロマンサーだったとは思いもしなかった。彼女は普通の、善良な魔法使いだとミックは思っていた。
「理由はどうあれ、まずは捕縛しないとだね」
リサが手をかざすと他の連中が一斉に武器を取り出した。アンジーたちも臨戦態勢に入る。
「行って! 邪悪なネクロマンサーたちを倒すのよ!」
リサがそう言うと、武器を持った他の4人がこちらへ向かってきた。リサはこちらの方をネクロマンサーだと言った。どういう事だろうか? 容赦なく向かってくる相手に、アンジーと戦士の男が前に出る。数的に不利な戦いが始まった。




