61話
「ほら、早くついてきな。これじゃあいつまで経ってもギルドに着かないだろう」
アンジーとミックたちはネクロマンサーを4人捕縛した。どうやら、彼女は倒した相手は全員気絶させていたようだ。ミックの為に1人も殺さないでいてくれたのだろう。
「ぜぇぜぇ、何で俺がこんな事を……」
「死体にブルって尻尾を巻いて逃げたのはどいつだったか忘れたの? うちのガキンチョの方がよっぽど勇気があるよ」
戦士の男が拘束したネクロマンサーを荷車に乗せて引いている。流石に4人の人間を一度に運ぶのは重荷だろう。
「ギルドに連れていけば、こいつらから色々聞き出せるはずだからね。1人逃がしたけれど、そいつが仲間に報告するだろうから時間との勝負なんだよ」
ネクロマンサーたちは猿轡をさせて手足を縛りつけて完全に身動きが出来ない状態だ。拘束中に魔法を使えないようにするためにはこうするしかないとはいえ、あまり見ていて気分のいい物ではなかった。
「今すぐあたしが尋問してもいいんだけど、流石にガキンチョに見せるわけにはいかないから、穏便に済ませるんだ」
「俺はこの依頼が終わったらこの仕事は下りるぜ。ネクロマンサーの相手はもうこりごりだ」
斥候の男が苦々しく言う。やはり死体を操るのを見て、ネクロマンサーの恐ろしさが身に染みたようだった。
「好きにしな。こいつらの本拠地が分かれば、後は魔法使いの連中が喜んで向かうだろうさ。魔法使いギルドへ入るためにね」
そういえば、リサたちはどうしてるだろうかミックは気になった。彼女たちもネクロマンサーと戦っているのだろうか。
「それにしても、ガキンチョの魔法がネクロマンサーに有効だったのは驚きだね。知ってたのかい?」
ミックが転ばし魔法をネクロマンサーに使った瞬間、操っていた死体も皆動きを止めた。転ばし魔法にそんな効果があったなんてミックも知らなかった。
「全然知りませんでした。でも、アンジーさんがピンチだと思ったら、身体が勝手に動いて……」
「やれやれ、確信もないの敵に向かって行くなんて、ガキンチョは度胸があるのか無鉄砲なのか時々分かんなくなるよ」
転ばし魔法は現代で使われている魔法と何かが違うとリサが言っていた。それが影響してるのかもしれない。その事も合わせてもう一度彼女に聞いてみたかった。
「カイナドに戻ったらリサさんを探して、この事を伝えたいです。きっと彼女の役に立つから」
「ほら、ガキンチョもそう言ってる。早くそいつらを引っ張ってきな!」
戦士が肩で息をしながら再び荷車を引いてゆく。カイナドに戻るにはもう少し時間がかかりそうだった。




