56話
墓場は村から少し離れた所に作られる。普通墓守を置く事が習わしだが、少しの賄賂でも与えれば平然と見て見ぬふりをするだろう。なので、こういう時には全く役に立たないと考えて差支えがなかった。そのため、夜になったら墓荒らしがいつ現れてもいいように護衛と共に張り込んだ。
護衛は前に出て戦ってくれる戦士と弓の得意そうな斥候の2人。不愛想だが冒険者はみんなそんな物だろうとリサは思っていた。しばらくそのまま物陰から墓場の様子をうかがう。元々不気味な墓場が夜の暗闇で一層不気味に感じれた。
「リサ、見て。誰か来ました」
師匠が声を潜めて言う。松明を持った数人の人間が墓場をうろついている。少なくとも村の人間ではない。奴らが墓荒らしなのだろう。
「向こうは4人ほどです。準備はいいですか?」
師匠がリサの隣に立って聞く。言われなくても準備は出来ている。斥候が弓を構えて、不意打ちの矢を放つ。
「!!」
明かりを持った者が倒れた。暗闇の中で混乱の声が上がる。その声を頼りに仲間の戦士が突撃し、師匠とリサが魔法を使う準備をする。1人の影が逃げるように飛び出した。
「束縛の蔓!」
周囲の木々に魔力を送り、蔓を操作して相手を捕らえる。リサが得意なのは火の魔法だが、師匠と一緒ならば、他の元素魔法を使える修行をしていた。捕らえた相手は魔法使いだったようで、ローブを深々と被っていた。
戦士が戻ってきた。返り血を浴びているが残った相手を皆倒したようだ。
「生かしておくのはこの捕縛した1人で十分でしょう。お手柄ですよリサ。見事墓荒らしを捕まえる事が出来ました」
師匠がそう言ってリサを撫でる。これで後は情報を聞きだして本拠地を探し出せば、自分も魔法使いギルドに認められるはずだとリサは思った。
「これも師匠のお陰です! 相手は何もできずに捕らえる事が出来たんですから!」
捕まえた人間は魔法使いだ。恐らくネクロマンサーの1人。魔法を使う前に無力化できた事が良かった。もし、魔法を使われていたら、もっと手こずる事になっていただろう。
「残った死体もこのままにしていくわけにはいきません。我々で処分しましょう」
倒したネクロマンサーの手下は、荷車に乗せて別の場所で処分することになった。
「処分する場所があるんですか?」
「ええ、この時のような場合、村の人たちに手伝わせるわけにはいきませんから、あらかじめ見つけておいたのです」
師匠の準備の良さに感心しながら、リサはその後をついて行った。




