52話
魔法使いギルドへの多大な貢献……ドラゴン退治もその1つである。だから、ミックにも魔法使いギルドから手紙が来た。他にはギルドが禁忌としているネクロマンシーの取り締まりも含まれている。
「私は何としても魔法使いになるの。正直に言うとあなた達はその邪魔になる。だから他の依頼を受けて頂戴」
「悪いけど、あんたらの事情はあたしらには関係ない。それに、この事件を追っている冒険者は他にもいるだろうさ。そいつら1人1人に同じ事を言うつもりかい?」
リサとアンジーがにらみ合う。一触発の状況に、ミックが間に入った。
「ちょっと、冒険者同士で争い合うのは良くないですよ! 僕らは別にこの依頼をやる必要ないじゃないですか。他の依頼をしましょうアンジーさん!」
「そうだね。ミックは魔法使いギルドから直々に手紙が来てるんだ。これ以上その貢献とやらは必要なんかないもんな」
リサの視線が今度はミックに移った。自分の方が魔法使いとしての適性があるはずなのに何故この少年が? そう目で言っている。
「そういう訳で、カイナドに着いたらそこでお別れですね。もうすぐですよ」
リサの師匠もそう言って、何とか彼女をなだめる。その場は何事もなく済んでミックはほっとしたが、そのまま険悪で居心地の悪い時間を過ごし、ようやくカイナドの町に着いた。リサたちは先に宿を取りに行くため、そこでお別れとなった。そこで、ようやくミックは安堵した。
「生意気な小娘だったね。あれじゃあ師匠も大変だろうさ。あたしらは冒険者ギルドで旅の資金が稼げたら、そのまま魔法使いギルドのある都市へ行くよ。あたしらを見たら、あの子どんな顔するだろうね」
「そんな意地悪ですよアンジーさん。リサさんが魔法使いギルドに入れるように応援しましょうよ」
冒険者ギルドは各地に支部が存在するが、構造は基本的に変わらない。依頼の貼りだされた掲示板、酒場を兼ねた食堂、共同の寝室と一通り備わっている。そして、どんな人間だろうと冒険者として受け入れ、依頼を受ける事が出来る。
同じギルドでも魔法使いギルドとはその考えもやっている事も全然違うらしい。なろうと思えば誰でもなれる冒険者、素質があっても正式になれる者は限られている魔法使い。
「墓荒らしの件はリサさんたちに任せて、僕たちは僕たちで気になった依頼を受けましょう」
「土地が変われば、さっき見つけたトロールみたいに魔物も変わる。でも、最終的に倒す事には変わりない。小難しい研究をしてる魔法使いより、冒険者の方が分かりやすくていいよ」
そう会話しながら、2人は掲示板に貼られている依頼を吟味した。




