50話
「それって魔法が珍しいだけで、僕自身には興味がないって事ですよね」
ミックは再び落ち込んでしまった。リサも彼の反応を見て、流石に罪悪感を感じたのかかける言葉を探した。
「まあいいじゃないですか。魔法使いギルドに選ばれる事はそれ自体が名誉でもあります。君の魔法はそれ程価値がある物なのです」
リサの師匠が慰めるが、まだミックは納得いってないようだった。
「う~絶対墓荒らしを見つけ出して僕自身の凄さを認めて貰うんだ!」
「墓荒らしですって!?」
リサが声を大にして叫んだ。この2人もカイナド地方を騒がしている墓荒らしを追いに来たようだ。
「何であなたたちが墓荒らしを探してるのよ! それは私たちの得物なんだから!」
「立ち寄った村で聞いたんですよ。この辺りは墓荒らしに悩まされているって」
「という事は、冒険者ギルドが依頼を出していたらどちらが依頼を達成するか、冒険者同士で競う事になるわけだ。お互いライバル同士だね」
アンジーがそう言った。冒険者同士で依頼対象の取り合いになる事はよくある事らしい。報酬は先に依頼を達成した方だけに支払われる。早い者勝ちだ。
「だったら悠長に魔法の事なんか教えている暇はないわ! 何で競争相手に魔法の事を教えなきゃいけないのよ!」
「リサ落ち着いて。しかし、あなた方も墓荒らしを追うとはなかなか勇気がありますね」
「せっかく埋葬された人が可哀そうですから。絶対墓荒らしを捕まえてやるんです!」
「でも、相手は人間ですよ?」
リサの師匠の言葉でミックはハッと気づいた。今まで魔物討伐の依頼ばかりしてきたが、依頼の中には犯罪者を捕まえる物もあった。時には相手が生きている必要のない物も……。
「ミック少年、悪い事は言わない。墓荒らしの依頼は受けない方がいい。貴方も人間同士で殺し合いたくはないでしょう?」
「そういうあんたらはどうなんだい。お嬢ちゃんにそんな事が出来るとは思えないけれど」
アンジーがリサを品定めする様に眺める。彼女は自分が子ども扱いされたことにむっと腹を立てた。
「私はもう16歳で立派な大人よ! それに、相手がネクロマンサーだろうと受けて立つわ!」
「ネクロマンサー?」
思わず口が滑った事に気が付いてリサは動揺した。聞いていた師匠もあきれ顔だ。
「なるほど、ネクロマンサーね。どうして墓荒らしがネクロマンサーだって分かるんだい?」
アンジーは目ざとく聞き込んだ。ミックはネクロマンサーが何か分からずキョトンとしていた。
「ネクロマンサーは死体を操る魔法使い。その為に死体を集めてるに違いないって思っただけよ……」
リサはそう答えた。




