49話
「以上、元素魔法の他に幻術や治癒魔法なんかもある。そして、それらは相手に触れて治したりする接触魔法、杖や魔石といった触媒を通して周囲に影響を与える間接魔法があるの」
リサが説明している間、ミックは真剣に聞いていた。師匠も自分の説明を聞いてきたが、訂正はされなかったので間違いはなかったのだろう。リサは安心する。
「リサさんがやっていたのは、いわゆる元素魔法という物でしょうか?」
ここで初めてミックから疑問が出て来た。自分が魔法の先生になったようで、リサは少し楽しく感じていた。
「そう、自然の中に存在する元素に魔力を送り込んで働きかけるのが元素魔法。火、水、木、土、金。それら5つが元素となりるの」
「でも、僕の転ばし魔法はどれにも当てはまらない気がするんですが……」
「そこが、問題なの」
リサはずいとミックに顔を近づけて、彼は慌てて後ずさる。
「元素魔法ではない幻術などの場合、空気中に漂っている霧に魔力を送り込む。あるいは直接相手に触れる。そう言った手段が必要なの」
リサは続ける。
「他にも杖や魔石と言った触媒があれば、そこから魔力を飛ばして相手に魔法をかける事も出来る。でも、あなたの転ばし魔法は違う」
彼女はミックの問いに対する答えではなく、むしろ自分の考察で自分を納得させるかのように話し始める。
「古い魔法だから体系以前の手段で魔法を放っているのかしら? だとしても、それじゃあ現代の魔法には代用できないって事……?」
「アンジーさん、彼女の言ってること分かりますか?」
「あたしは魔法に関しては専門外だ。最初から理解することは諦めている」
アンジーはそう言い捨てた。ミックも自分が魔法を使えているがその理由は考えた事がなかった。相談していると、リサは1人納得した様に頷いた。
「とにかく、あなたの魔法は今の魔法からずれてる。だから、正直私が師匠に教えられたように魔法の練習しても、他の魔法を使えるとは限らない、以上」
そう彼女は結論付けた。
「じゃあ僕、魔法を使えないって事ですか?」
「少なくとも、今使ってるように他の魔法を使えるとは限らないわ。残念だけどね」
そう彼女は言い放った。その言葉にミックは落ち込む。
「それじゃあ僕は魔法使いになれるとは限らないんですね……」
がっかりするミックにアンジーがぽんと肩を叩く。
「それでもあんたの転ばし魔法には助けられているから心配しなくていいさ」
アンジーが慰める。ミックは自分に魔法使いの素質があると思っていたようで期待していたが、どうも古い魔法は勝手が違う様だ。
「魔法ギルドがあなたに興味があるみたいだけど、才能より研究対象としてなのかもしれないわね」




