47話
「あの、大丈夫ですか? お怪我はありませんか?」
後方から、少年が駆け寄ってきた。しかし、リサは少年を睨みつける。
「助けなんかいらなかったわ。せっかく魔法の練習になったのにあなた達が余計な手を出すから……」
「おいおい、助けて貰ってその言い草はないんじゃないか? 確かに魔法使いみたいだけど」
女戦士が反論する。どうやらリサが魔法を使ってる所を見ていたようだ。ならば、なおさら心配される筋合いはなかった。
「あなた達冒険者? それなら魔法使いがどれ程強いか分かるでしょう? 一つの魔法で戦局を大きく変える事が出来る。それが魔法使いなんだから」
「それなら一撃で決められるような魔法を使いなよ。相手も素直にもう一度受けてくれるとは限らないんだからな」
女戦士とにらみ合う。慌ててその間に少年が割って入る。
「アンジーさんも落ち着いて! 何事も無かったらいいんです。僕がつい手を出したばかりにすいません……」
少年の方は素直に頭を下げた。そういえば、さっきこの少年も何か魔法を使ったようだったのを思い出した。
「あなた名前は?」
「僕はミックと言います。こちらの戦士はアンジーさん。僕らはカペー地方から来ました」
カペー地方。最近名前を聞いたばかりだ。確かドラゴンが出没していたとか。それでドラゴンの影響がないこの土地まで逃げて来たのだろう。ドラゴンが現れた地域は魔物も凶暴化する。ゴブリンでも村を滅ぼすくらい凶暴になるという。だから、安全そうな依頼を受けられそうなカイナド地方まで逃げて来たのだろう。2人だけ、しかも1人はまだ子供の冒険者パーティだ。しかし、トロールを一撃で切り裂いた女戦士はかなり腕が立ちそうだった。どういう関係なのだろう?
「どうも手を貸していただいてありがとうございました」
師匠が近づいてきて言った。2人の冒険者に頭を下げて感謝の意を表す。
「我々は修行をしている魔術師でして、私はフォーレゲン。彼女はリサと言い私の弟子です」
「どうも名乗っていただいてありがとうございます。お2人は魔法使いなんですね! さっき見たリサさんの魔法も凄かったです」
「いえいえ、先ほど女戦士さんがおっしゃられた通り、まだまだ未熟……しかし素質は素晴らしい物があります。ところで、君も先ほど魔法を使ったみたいですが、あれは?」
やはり、師匠も気になっていたようだ。そうだ、リサもミックという少年の使った魔法に興味があった。
「僕は転ばし場法を使って相手を転ばせる事が出来るだけです。でもそれで相手の隙を作ってアンジーさんにとどめを刺してもらうんです」




