46話
2人はバーズの町を目指して街道を進んで行く。その間も師匠呼ばれている男の、魔法に関する講義が続けられている。
「これは復習ですが、主な魔法は4つの元素からなる元素魔法があります。では、回復魔法に見られる、特定の存在に触れて使う魔法は何と呼びますか?」
「接触魔法」
「杖や魔石などの触媒を通して対象に触れずに行使する魔法は?」
「間接魔法」
「正解です。魔法の分類は起訴中の基礎。忘れてはいけません。では……」
話の途中で川を隔てる大きなつり橋までたどり着いたのだが、その橋の前に大きな魔物が陣取っていた。
「やれやれトロールですか……こういう魔物は早めに討伐される物ですが、最近出たばかりでしょう」
トロールはオークより巨体だがオーガよりは小さい人型の魔物だ。魔物の中では知能が高く、橋や一本道などに居座って食料を要求するような習性をもつ。魔物の中では大人しいとされるが、その食料には人間が入る事もあるため、危険な事には変わりない。
「遠回りしても良いですが、いずれ他の旅人の邪魔になるでしょう。ここで退治しておきましょうか。リサ」
「分かりました。師匠」
リサが前に出る。どうやら彼女一人でトロールを討伐するつもりらしい。トロールの方は彼女が何をするつもりなのかまだ分かっていないようで、ぼーっと彼女を見ている。
「元素魔法、火」
荷物から小さな小箱を取り出した。中にはこの世界で使われるマッチが入っていた。
「火炎弾」
慣れた手つきでマッチに火を付けると、その火が空中で大きく燃え上がり、3つの火の玉となる。ここでトロールはようやく相手が自分を攻撃してくるのだと気づいたようで、慌てて立ちあがる。
「遅い!」
リサがそう言うと、火炎弾は次々とトロールに向かって飛んでいき、直撃して弾ける。
「うごおおお!」
トロールは全身を焼かれてもまだ生きており、雄たけびを上げてリサに襲い掛かる。
「生命力だけは高いわね、でも次で終わりよ」
どんどん迫ってくるトロール相手にも、リサは冷静に次の魔法の準備に入る。
「危ない!」
背後から聞いた事のない声が聞こえて来た。
「転ばし!」
次の瞬間、こちらに向かってきていたトロールが地面に倒れた。というより転んだという方が正しかった。魔物自身も何が起こったのか分かってない様にぼかんとしている。
「今ですアンジーさん!」
その声に続いて、目にもとまらぬ早い影が、リサの横を風のように通り過ぎた。驚いてトロールの方へ視線を向けると、一人の女戦士が大きな剣を高々と掲げていた。
「はあぁっ!」
女戦士は跪いているトロールの頭部をたたっ切った。上半身まで真っ二つになったトロールは、そのまま二度と起きる事はなかった。




