44話
「はい、だから冒険者として今度は外の世界の見聞を広めるために、旅をしたいと思っています。魔法使いのギルドからも興味があると手紙が来てたので、丁度いいかと……」
「だからって外の世界は危険なんだよ! あたしもそんなに知らないってのに……」
そこまで口にして、しまったとアンジーは思った。
「アンジーさんも旅はあまりしたことなんですか? それでしたら仲間がいた方がいいです! 1人よりも2人、荷物持ち位なら僕出来ますから!」
「だから、あんたには他の道が……!」
「冒険者として旅に出る事が僕の選んだ道です! その為にドラゴンを倒した英雄とまたパーティを組みたいんです! 一緒に同じ道を、僕は行きたいんです!」
ミックの目は真剣だった。恐らくこうなったら返そうとしても意地でもついてくるだろう。アンジーは降参するしかなかった。
「やれやれ、あんたは頭はいいのにとんでもない馬鹿だよ。かなりの大馬鹿」
「そういうアンジーさんだって、独りでドラゴンと戦おうとしたんだから馬鹿ですよ。大馬鹿って言う方が馬鹿なんです!」
ミックはむっとして反論した。
「はいはい、分かったからそこの荷物を持ってついてきな。中に地図があるから、それを見ながら次の目的地を探すよ」
アンジーの言葉を聞いて、ミックは今度パッと笑顔になった。全く忙しい奴だと彼女は呆れた。
「分かりました! 荷物持ちは僕の役目ですからね!」
ミックさっと彼女の荷物を手に取るとそれを背負う。見慣れた光景だが、いつもとは少し違う。2人の長い旅の始まりの最初の光景だ。
「じゃあここから一番近い村か町は何処にあるかい相棒?」
「はい、このまま街道沿いを進んで、最初の分かれ道を左に……東の方角に村があるみたいです!」
取り出した地図を両手で広げて、指で指し示しながらミックはアンジーに伝える。
「魔法使いギルドから手紙が来ていたって言ったね? ここからは遠いけれど、丁度いい目的が出来たよ」
2人は歩き出した。少年と隻腕の女戦士の2人だけの冒険者パーティ。だが、彼らはドラゴンをも倒した凄腕の冒険者だ。
「道中、魔物が出たらあんたも戦いに加わるんだよ。戦士であるあたしのサポートを頼んだからね」
「勿論です! 僕は荷物持ちだけじゃなく、魔法が使えるんですからね!」
分かれたと思った道が再び交わり、長い道程へと続いている。この交わった道が何処まで続いているのか、2人はまだ知らない。
「僕のとっておき、転ばし魔法でしっかり頑張ります!」




