40話
「でも……」
「話は終わり! もう時間だ。いつものように今日のパーティはここで解散。分かったね?」
そう言って、アンジーは一方的に話を打ち切り、鍛冶屋へと向かった。だから、ミックもこれまで受けた依頼を終えてそうしていた様に、孤児たちのいる孤児院へと帰っていった。
孤児院のある教会の入り口で神父が立って待っていた。決して声を荒げなかったが、建物の中に入るなり説教が始まった。長い長い説教が終わった後、神父はぎゅっと彼を抱きしめた。こんなに心配させていたのだと、ミックにとって説教よりも心に響いた。孤児院に戻ると、どこから聞いたのか、既に皆ドラゴン退治の話を聞いており、ミックの前に集まってきた。ドラゴンはどんな姿だったのか、どうやってドラゴンを倒したのか、答える前に次から次へと孤児たちの質問が飛んでくる。
「これは本当に大変だ……」
ミックはギルドの受付係の言葉を思い出さずにはいられなかった。それから数日は、怒涛の日々を過ごした。町の長が直々に孤児院にやって来て、ドラゴン討伐について事細かに尋ねられた。ドラゴンが倒された事は既にギルドが確認して、事実だという事が証明されていたが、やはりただの孤児が、どうしてその様な偉業を成し遂げられたのか、その理由を知りたいようだった。ミックは自分が冒険者になった事から簡潔に説明して、ドラゴン討伐の事を説明した。
「僕自身は殆どアンジーさんのサポートをしていただけです。ですから、本当に凄いのは直接ドラゴンを倒したアンジーさんなんです」
そこを強調して長に説明したが、彼も納得してくれたらしく、不信感を与える事なく説明は終わった。
「君は年の割に賢く勇敢だ。今の話だけでもそれが伝わってくる」
最後にそう言って長は去っていったが、ドラゴン討伐の後始末はまだ終わりではなかった。町の長とギルドからミックの情報は各地に周知され、養子を求める書状や孤児院への援助をお申し出が殺到した。中には魔法使いギルドが、ミックの使う転ばし魔法について研究したいからと、ギルド直々のスカウトもあった。それら一つ一つに対応を求められ、神父の力も借りながらミックはどうするか、今後の自身の身の振り方を決めなければならなかった。これでは当然冒険者ギルドで依頼を受ける余裕もなく、アンジーにも会う事の出来ない日々が続いた。流浪の旅を決めていた彼女だったが、どこで今何をしているか、ミックにはそれを知る時間の余裕もなかった。




