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4話

「よし、頑張るぞ!」

 翌日、冒険者ギルド前までやってきたミックは、自分で気合を入れて声を出す。中に入ると既に冒険者が何人か居り、一瞬自分に視線が集中するが来たのがミックだと分かると、こそこそと何か囁く声やくすくすと笑う声が聞こえて来たが、彼は聞こえないふりをして依頼の貼ってある掲示板の前へ向かう。

「僕にもできる依頼はあるかなぁ……」

 討伐、護衛、探索など様々な依頼書がびっしりと貼られている。その中から選んだ依頼書を受付に持って行き、依頼受領を伝えればギルドがそれを確認する。そのまますぐに依頼に取り掛かる事もあれば、改めて依頼者から詳しい話や交渉をすることもある。その仲介を冒険者ギルドが行ってくれる。

「薬草採取……よし、これだ!」

 依頼書を掲示板から剥がして、受付前に持って行く。時にはギルドの判断で、あまりに冒険者と依頼が釣り合わないと判断された時は受領拒否されることもある。少なくとも貼ってあった依頼の中では一番簡単な物だ。これですら拒否されたら、ミックにはもうお手上げだった。

 受付のギルド職員は少し悩むように顔をしかめたが、採取依頼なら大丈夫だろうと考えてくれたのか、許可の印を出してくれた。

「ありがとうございます!」

 ほっとしてミックは依頼書を握りしめてギルドを飛び出した。とにかく依頼は早い者勝ちだ。採取の依頼は全部受けるつもりで来たから、他の冒険者に取られないように急いで終わらせなければならない。街中を走りながら依頼書を流し読みする。

「町から東の森にある薬草を10株……ちょっと距離があるけど、危険な魔物はいないはずだ」

 町の外は当然魔物がいる。けれど、危険な魔物が人里近くに出たらすぐに情報が集まってギルドに討伐依頼が載る。まだそういう依頼はなかったし、東の森には魔物が出たとしてもゴブリン位だから、遭遇したらすぐに逃げれば大丈夫だとミックは考えていた。

「捕まりそうになったら、その時は転ばし魔法が役に立ってくれる!」

 相手が少数しかいなければ、転ばし魔法で転ばせるだけで確実に逃げる事が出来る。ちょっと情けないけれど、自分の唯一の特技の有益な使い方を初めて思いつけてちょっと嬉しかった。

初めて一人で依頼を受けるが、孤児院のためにもちゃんと成功させて稼いでいくとミックは心に誓った。だが、彼がギルドを出てから、その小さな背中をゆっくりと追いかけている影が一つある事に、ミックは全く気付いていなかった。

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