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34話

 生まれついての鍛冶師と呼ばれるドワーフたちは、無骨な外見と裏腹に繊細で美しい剣や鎧を作る者が多い。それでいて、武器や防具としても一流の質が保証されている。実用性は騎士に、細工の美しさと細かさは貴族に好まれ、彼ら独自の型の装備を欲しがる者は後を絶たない。それ故に、彼らが特注で製造した物は普通の物よりはるかに高額となる。

「あたしが10年貯めた金額じゃ、これ一本も本当は買えなかった。あの鍛冶屋のおっさんには頭が上がらないよ」

 何でも昔のパーティの結束時から顔馴染みの鍛冶屋だったらしく、本当に、特別にドラゴン討伐用に鍛えてくれた剣らしい。

「初めて持つのに、ずっと使ってきたかのように手に馴染む……いなくなった仲間たちだけじゃない。手助けしてくれた人たちのためにも生きて帰らなきゃなんだ」

「分かります、僕にも待ってくれてる今の家族がいますから……」

 剣だけでなく、他にも対ドラゴン用の道具を作って貰っているようだった。それらを持って独りでドラゴンの所に行くのは難儀だっただろう。でも、今はミックがいる。

「初めてパーティを組んだ時みたいに、荷物持ちの役に戻ったみたいです」

 凶暴化した魔物も殆どアンジー1人で倒してきた。ミックが魔法を使う機会はなく、その後をついて来ているだけだった。

「もしもの時、あんたの魔法が必要になる時が来る。だから、絶対に油断しちゃいけないよ」

「勿論です!」

 荷物持ちの経験からか、ミックの足腰は意外と強かった。今の所遅れることなく、彼女について来られている。

「前のパーティで僕も鍛えられていたみたいで、今となっては感謝しています。解雇されたおかげでアンジーさんに会う事も出来たし」

「あんたも言う様になったじゃないか。もう立派な一端の冒険者だよ」

 そう言ってる間に、ついに北の山の山頂に着いた。元々何かの目的があってそうされたのか、広い平地となっていて木々もそこだけが取り払われている。誰も知る者はいないが、古代には儀式や何らかの行事をするための場所だったのだろう。

そして、それを知ってか知らずかドラゴンは10年前と同じく、ここを根城に再び現れた。

「いたよ。右目が塞がっている。間違いなく過去にあたしが仲間と一緒に戦った奴だ」

 来るのが分かっていたのか、山頂の中心部で緑の鱗を持つドラゴンが身を横たえていた。彼女の言った通り、こちらを睨みつけている顔の右目はズタズタの傷となって塞がっていた。

「ミックはここで道具と魔法をいつでも使えるようにして待機。この距離でもあいつの炎と尻尾がいつでも来ると思ってなよ」

 そう言って、アンジーは1人ゆっくりとドラゴンに近づいていく。

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