22話
「えっとアンジーさんが僕を利用していたという話なんですが、昨日の夜考えてみたら、そもそも僕にとっては別に悪い事ではないんです」
ミックは話し始めた。彼なりに本当に真剣に考えた上での意思なのだろう。
「だって、僕もアンジーさんがいなかったら報酬の高い依頼を受けられないし、アンジーさんもきっとそれは同じだったんだろうと思ったんです。僕はアンジーさんの力が欲しかったし、アンジーさんも僕の魔法が欲しかった。お互いに必要な物を持っていたからパーティを組んだ。ただ、それだけの事で……」
「でも、あんたの魔法の事を、私は周りに秘密にしていた」
アンジーがそう答えると、ミックは首を横に振った。
「いいえ。だって、前のパーティでも魔法は使ってたんです。でも、パーティの皆も僕自身もそれを上手く使う事が出来なかった。だから、僕はパーティを外されたんです」
「あたしがあんたの功績を自分一人の物にしていた事は?」
「強い魔物を倒した功績なんて、僕には必要ないんですよ。だって、僕は報酬のお金が貰えればそれていいんです。冒険の話は、孤児の皆に僕が活躍したと脚色して話しちゃってたんですけどね……」
ちょっと恥ずかしそうにミックが答える。
「アンジーさんも言っていたじゃないですか。周りの色んな物を全部利用するのが冒険者だって。僕もアンジーさんもお互いに相手を利用していただけなんです! これでも、僕も冒険者ですから、アンジーさんを報酬の為に利用させていただいてました……」
それがミックなりの答えだった。つまり、冒険者同士が相手に欲しい物を求めていただけの関係。それは別に悪い事ではない。そう言う契約のドライな関係の冒険者パーティは山ほどいる。しかし、その事をまだ子供のミックに思い出させられた。アンジーは思わず笑いがこぼれた。
「ふっふっふ……あはは! ベテランのあたしが、こんなガキンチョにまんまと利用されていたとはね!」
彼女も心のどこかでミックの事を子供だと思って侮っていた。ところが、この少年は思った以上にしっかりしている。それもそのはずだ、彼には孤児院という守る物がある。自分なんかよりもこの年頃でよっぽどしっかりしている。それも立派な冒険者として。
「改めて、一緒にパーティを組んで依頼をやっていきましょうアンジーさん!」
「ああ、冒険者のパーティとしてね。あんたとあたしの二人で」
ミックとアンジーはお互いに強い握手を交わした。ミックの方は手が潰れると思ったけれど、これで初めてアンジーと一緒にパーティを組めたのだと感じた。




