表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/39

22話

「えっとアンジーさんが僕を利用していたという話なんですが、昨日の夜考えてみたら、そもそも僕にとっては別に悪い事ではないんです」

 ミックは話し始めた。彼なりに本当に真剣に考えた上での意思なのだろう。

「だって、僕もアンジーさんがいなかったら報酬の高い依頼を受けられないし、アンジーさんもきっとそれは同じだったんだろうと思ったんです。僕はアンジーさんの力が欲しかったし、アンジーさんも僕の魔法が欲しかった。お互いに必要な物を持っていたからパーティを組んだ。ただ、それだけの事で……」

「でも、あんたの魔法の事を、私は周りに秘密にしていた」

 アンジーがそう答えると、ミックは首を横に振った。

「いいえ。だって、前のパーティでも魔法は使ってたんです。でも、パーティの皆も僕自身もそれを上手く使う事が出来なかった。だから、僕はパーティを外されたんです」

「あたしがあんたの功績を自分一人の物にしていた事は?」

「強い魔物を倒した功績なんて、僕には必要ないんですよ。だって、僕は報酬のお金が貰えればそれていいんです。冒険の話は、孤児の皆に僕が活躍したと脚色して話しちゃってたんですけどね……」

 ちょっと恥ずかしそうにミックが答える。

「アンジーさんも言っていたじゃないですか。周りの色んな物を全部利用するのが冒険者だって。僕もアンジーさんもお互いに相手を利用していただけなんです! これでも、僕も冒険者ですから、アンジーさんを報酬の為に利用させていただいてました……」

 それがミックなりの答えだった。つまり、冒険者同士が相手に欲しい物を求めていただけの関係。それは別に悪い事ではない。そう言う契約のドライな関係の冒険者パーティは山ほどいる。しかし、その事をまだ子供のミックに思い出させられた。アンジーは思わず笑いがこぼれた。

「ふっふっふ……あはは! ベテランのあたしが、こんなガキンチョにまんまと利用されていたとはね!」

 彼女も心のどこかでミックの事を子供だと思って侮っていた。ところが、この少年は思った以上にしっかりしている。それもそのはずだ、彼には孤児院という守る物がある。自分なんかよりもこの年頃でよっぽどしっかりしている。それも立派な冒険者として。

「改めて、一緒にパーティを組んで依頼をやっていきましょうアンジーさん!」

「ああ、冒険者のパーティとしてね。あんたとあたしの二人で」

 ミックとアンジーはお互いに強い握手を交わした。ミックの方は手が潰れると思ったけれど、これで初めてアンジーと一緒にパーティを組めたのだと感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ