18話
「酒だ! 食い物だ! ガキンチョも今日は遠慮なく好きな物を食いな!」
ギルドに戻った後、受付に事情説明と証拠品を提出するとまたしても向こうは驚いていた。そして、金貨の入った袋を取り出して2人に差し出した。報酬で金貨を見たのは初めてだった。やはりオーガという大物を倒した事は相当な偉業らしい。
「孤児院の皆に悪いなぁ……僕だけこんないい物を食べちゃうなんて」
「そんなに気になるなら、いくつか持って帰ってやんな。話だけでなく食い物も土産にしてやったら、孤児共にとって十分なご馳走になるだろうからね!」
冒険者ギルドには冒険者たちのたまり場となる酒場も併設されている。ここでパーティを組む交渉や手に入れた報酬を豪華な食事に変えて、己の冒険の達成感を得る。そして、新たな冒険の糧にするのだ。同時に宿も提供しているので、個室を借りて柔らかなベッドで疲れを癒す者も多い。
「さあ食べな! 食べられる時に食べておかないと、出る力も出ないよ!」
アンジーが言うので、せっかくだからミックは少しだけ食べて、後は孤児院の皆に持って行ってあげる事にした。お酒は……さすがに神父様に怒られるからやめておく。
「つまんない奴だね。あたしは飲むよ。あんたの分までね!」
やはり戦うのは相当体力を使うのか、アンジーはひたすら料理を掻っ込み、酒を飲む。まるで空腹のオーガみたいだと思ったが。流石に失礼だと思いミックは言わなかった。
「おい、アンジー久しぶりじゃねえか」
2人の席に強面の冒険者たちが数人やってきた。前のパーティを解雇された時にも、ミックの事を小ばかにしてきて苦手な連中だ。
「最近随分景気が良さそうじゃねえか。ちょっと前までは端の方でしょぼくれていたのによぉ」
彼らも冒険者としてベテランで、アンジーの事も知っているらしかった。しかし、彼女は明らかに迷惑そうに顔をしかめつつも返事もせず、酒の入ったジョッキを口に付ける。
「おい、聞いてんのか! ガキに荷物持ちやらせて一人でオーガ倒したって聞いたが、調子こいてんじゃねえよ!」
「いくらせこせこ討伐依頼やって強そうにした所で、右手を失った時からお前はもう冒険者として終わりなんだよ!」
どうやら彼女の活躍が気に入らなくて喧嘩を売りに来たようだ。だが、あまりに酷い罵詈雑言にミックは黙って聞いてられなかった。
「ちょっと、酷い事言わないでください! アンジーさんは立派な冒険者ですよ!」
「荷物持ちのガキは黙ってな!」
リーダー格の男に腕で払われる。相手は腕っぷしには自信のある巨漢だ。子供のミックは簡単に弾き飛ばされた。
「おい」
今まで黙っていたアンジーが凄んだ声を出す。そして、ミックを突き飛ばした冒険者の顔に、飲んでいた酒をぶっかけた




