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17話

「はあああああ!」

 雄たけびを上げて隙だらけのオーガの首に深々と剣を突き刺す。そのまま全身で剣を無理やり横にしながら首を切り抜いていく。

「がぶっ……!」

 己の血で喉が塞がりつつもオーガは立ち上がるのを止めて、慌てて剣を引き抜こうとする。だが、もう勝敗は決した。

「だりゃあああ!」

 アンジーは身体をひねって大鬼の頸椎まで刃を届かせると、全身を反対方向に回転させて、剣を引き抜きながらさらに首を斬り払った。

「がぼ……ぼ」

 どさりとオーガの大きな頭部が地面に落ちた。頭をなくした身体は糸の切れた人形のように、完全に力が抜けてその場に倒れ込んだ。流石に高速治癒能力も、頭部を切り外して即死させてしまえば無意味となる。

 肩で息をしながらアンジーは事切れたオーガを確認すると、血を拭ってミックの方へ近づいてくる。

「アンジーさん、大丈夫ですか……?」

 彼女はミックをじっと見降ろす。しばらくそのまま無言で見つめ合っていたが、大きく深呼吸すると彼女はにっと笑った。

「上出来だよガキンチョ! 最初のオーガの攻撃の時にまだ魔法を使わなかったのは偉いよ! あたしがやりたかった事をちゃんと分かってたみたいだね!」

 剣を仕舞い、乱暴にミックの頭を撫でる。

「い、いや、あの時は恐怖で咄嗟に魔法が使えなかっただけで……でも、あいつが膝をついた時、空いていた左足を狙えば転倒させられると思って、それで……」

「あいつの巨体じゃ、まず急所を狙おうにも膝をついただけじゃあ充分届かないからね。でも、転倒させてしまえば丁度いい高さに頭が来る。よく見ていた証拠だよ!」

 まさかこんな大物をたった2人で倒せるなんて思いもしなかった。オーガの相手は熟練した冒険者のパーティですら苦戦するという強敵だ。

「でも、どうしてこんな所にオーガがいたんでしょうか?」

「ゴブリン共を追ってきたんじゃない? こいつが咥えていた足と、オーガの耳を持って帰るよ。ギルドへの証拠品提出にね」

 東の森にもグリズリーベアが出たし、最近はやたら強い魔物と遭遇する。何かの前触れだろうか? ミックは不安をおぼえた。

「ほら、ガキンチョ。これらを持って行くのもあんたの仕事だよ! 戦いが終わったからってぼやぼやしない!」

「は、はい!」

「オーガの討伐報酬は高いよ。久々にギルドに戻ったら、お祝いでもしようかね」

「お祝い!」

 予想以外の収入が入ったので、アンジーは冒険者ギルドに併設されている酒場でお祝いをするつもりのようだ。そんな贅沢は今までしたことがかったので、ミックも疑問を忘れて冒険者の宴に思いを馳せた。

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