12話
討伐依頼による修業はその後も続いた。ゴブリンやオークの様な人型の魔物だけでなく、ワーグの様に四足の獣で複数体を同時に相手をする依頼も受けた。これだけでも前のパーティで受けていた依頼よりレベルが高いのに、アンジーは平然としていた。敵の攻撃を受けても全く動じず、サポート役のミックの方が疲弊する程だ。
「ふぅん、だんだん良くなってきたじゃないか。初日にしては呑み込みが早いよ。明日は依頼が無かったらあたしが直接稽古をつけてやるよ。報酬も勿論出すから安心しな」
「あ、ありがとうございます……」
依頼で荷物を持ちながら動き回り、戦闘では彼女の補助の為、常に魔法を使う位置取りのために奔走し、ミックはへとへとだった。これが冒険者の仕事なんだと改めてその厳しさを実感する。
「じゃあ、ほら今日の報酬だ。言った通り半分ずつ。まあ傷薬代はしっかり引かせてもらってるけどね」
そう言ってアンジーから報酬の入った袋を手渡された。ずっしりと銀貨、銅貨が入っている重さを感じる。彼女の治療する薬代が引かれていたとしても、前のパーティにいた頃よりも断然報酬が多い。
「こんなに貰えるなんて、本当に良いんですか?」
「何だい? いらないならあたしが全部貰うよ。約束は約束、大事な契約だ。冒険者なら言った事はしっかり守るものさ」
今日の報酬だけで、孤児院のみんなが数日お腹いっぱい食事をできるだけの報酬はある。これなら孤児院の経営も続けられる。喜びでさっきまでの疲れもあっという間に吹っ飛んだ。
「ありがとうございます! これなら神父様やみんな喜ぶぞ……!」
「じゃあ、明日も昼の鐘が鳴る前にギルドに集合だよ。依頼は毎回あると限らないから、今回の報酬が毎回貰えるとは考えない事だね」
そう彼女に釘を刺されるが、例えこの半分でもミックには十分な金額になる。一人で採取依頼を受けていたら、まず手に入らない額の金額だ。
「僕、明日も頑張ります! アンジーさんの補佐役としてもっと修行します!」
「まあその意気だね。あたしもあんたには期待してるつもりだから頼んだよ」
彼女の方は冗談めいて言っているつもりだろうが、ミックは本気だった。たった2人だけで、ギルドでも称えられるくらいのパーティになれると彼は思っていた。孤児院の皆も安寧と生活出来て、尊敬されるそんなパーティに。
「じゃあこれで解散だ。あたしはこの後途中寄らなきゃいけない所もあるし、明日の集合に送れるんじゃないよ!」
そう言って2人は解散した。思いがけない出会いと幸運に恵まれてミックは、アンジーがどうして自分と組んだのかその理由もすっかり頭から離れていた。




