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11話

「しゃああ!」

 仲間を殺されて怒りに狂ったゴブリンが、アンジーに向かって2匹同時に襲い掛かる。

「どっちを狙うんだ…?」

 ミックは混乱した。彼の魔法は一匹ずつしか狙えない。複数同時に魔物が攻撃をしてきたら、一匹は無力化できるが、他の敵の攻撃を許してしまう。

ゴブリンは彼女を左右同時に挟んで攻撃しようとしている。咄嗟に右側のゴブリンの方を魔法で転ばせる。

「転ばし!」

 こん棒で殴りつけようとした魔物は、がくんと片足の膝をついて体勢を崩した。そいつをアンジーは剣を振り下ろして両断するが、彼女が宣言した通り本当に残ったゴブリンの攻撃を避けず、わき腹を殴りつけられた。

「まあ及第点かしら。でもいいかいガキンチョ。敵が同時に攻撃すると言っても、仲良しこよしでもない限り、そのタイミングは微妙にずれる。それをよく見極めて魔法を使いな」

 攻撃を受けても全く動じず、彼女はミックに指摘する。残ったゴブリンは動揺したが、再び武器を振りかぶる。

「転ばし!」

 両手で振りかぶったため、手を付く事も出来ずゴブリンはその場に転んだ。立ち上がる隙を与えず、アンジーが地面に縫い付けるように剣を突き刺し、これでゴブリンの群れを全て倒した。

「大丈夫ですか!?」

 ミックが慌てて駆け寄るが、それを見たアンジーが叫ぶ。

「まだ周りに隠れている魔物がいるかもしれない! 警戒を怠るな! 冒険者ならこんな事で一々動じるんじゃないよ。分かったか?」

 逆に彼女に怒られてしまった。ミックはびくっと肩を震わせた後、言われた通り周囲を見渡す。幸い他に魔物はいないようだった。

「まあ50点くらいだね。魔法自体は悪くないが、ガキンチョ自身の冒険者として基礎がなってないよ」

 そう言われてミックは肩を落とした。パーティを組んだはいいものの、この先上手くやっていく自信がなくなってしまった。

「あんたも冒険者ギルドで依頼を受ける冒険者の一人なんだ。さっきあたしが言ったことよくおぼえておきなよ。あんたは大事な相棒なんだからね」

「わ、分かりました……」

「さて町に戻るよ。あの程度の攻撃で薬はいらないけど、一応報酬から傷薬代は引いておくからね。たんまり稼ぎたかったら、どんな魔物からでもあたしに攻撃させないようにするんだよ」

 アンジーとのパーティはとても厳しそうだ。しかし、報酬の為にも、何より彼女に命を助けられた恩に報いるためにも、もっと役に立たなければとミックは思った。

「討伐依頼はまだまだある。戦った奴だけでなくて、今後は初めて戦う相手でもどんな動きをするか、予測して魔法を狙いなよ!」

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