114話
果ての山脈に続く街道で、旅人がオークの群れに襲われていた。ゴブリンに比べて人間と同じくの体格で、厳つい顔を魔物だ。ゴブリンよりも組織だって行動し、時に人間と交渉をする者も現れる。しかし、気を付けなければならないのは交渉するという事は、彼らには彼らの目的があり、それは最終的に自分たちが利益を総取りする物だという事だ。目の前の争いを避けたいがために、彼らの口車に乗って延々と搾取される村や集落は後を絶たない。冒険者にとっても自体が大事になるまで討伐依頼が出されず、割に合わないという事もしばしば。
人間にとって時にはある意味で、トロールやオーガ以上に脅威となりえるだろう。
「オマエ、メシヨコス」
「ひぃ……これで全部です……」
4匹のオークに取り囲まれて、食料を要求されている。
「タリナイ、オマエ、ゼンブヨコス」
追いはぎのように旅人から持っている物を全て横取りするつもりだ。しかし、渡した所で無事に生きていられる可能性は低い。原始的なこん棒をこれでもかと見せつけて、荷物を要求する。
「お許しを……もう出せる物は何もありません!」
「ジャアシネ」
オークが武器を振り上げた。旅人は恐怖でその場に跪く。しかし、武器が振り下ろされる事はなかった。
「ちんけな追いはぎなんかしてるんじゃないよ魔物どもめ!」
アンジーが俊敏な剣技で武器を振り上げたオークを切り付けた。突然の敵襲にオークたちが慌てて臨戦態勢に入る。
「むん!」
旅人の頭上を斧槍の横薙ぎの一撃が通り抜けた。2匹のオークがあっという間に倒された。
「我こそはマカブル家の盟主にして遍歴の騎士オーランド・マカブル! 邪悪な魔物よ、某の正義の一撃を受けるがいい!」
残されたオークは逃げようとするが、突然足が何かに引っ掛けられたように動き、その場に尻もちをついた。そこにアンジーのとどめの一撃で両断される。
「ったく、こんな街道にオークが出るなんて世も末だね」
「旅の者よ怪我はないか? 魔物は全て倒した。面を上げよ」
「あ、ありがとうございます!」
2人の冒険者の後ろから少年と若い女性がやってきた。運よく冒険者のパーティが近くにいたお陰で、旅人は無事に助かった事にほっとした。
「旅の人、無事でしたか? 僕はミックと言います」
少年が丁寧な挨拶をする。旅人も同じように挨拶を返す。
「ありがとう冒険者の方々、少ないですが感謝のお礼を贈らなければ……」
「報酬などよいのだ。これも騎士の務め! それよりお主は何故1人でここを通っている?」
いくら街道沿いとはいえ、先ほどのように1人では魔物や山賊に襲われてもおかしくはない。ほんの隣町へ行くにしても複数人いるのがこの世界では常識だ。
「もしかして、果ての山脈の方から来たんですか?」
「ええそうですが……」
「それなら聞きたいことがあります!」
旅人が果ての山脈の方角から来た事を告げると、ミックと名乗った少年が目を輝かせた。




