112話
以上がオーランド・マカブルの答えだった。そして現在、果ての山脈を目指すミックたちのパーティメンバーに選ばれる事となった。
「某の処遇については全て任せる。化け物と一緒に冒険が出来ぬというなら、某は1人で果ての山脈を目指す」
「そんな事ないです。オーランドさんは立派な騎士です! ベナガラに襲われた時、僕らを守ってくれたんですから!」
ミックが声を上げる。
「アンジーさんたちもオーランドさんがどんな人か、ベナガラの件で分かっているはずです!」
吸血鬼と疑われた兄妹たちを診察し、その治療法を教えた知識と行動。村を襲う吸血鬼の正体をベナガラと見破り、勇敢に戦ったその活躍をミックは言い上げた。
「それなのに、どうしてオーランドさんをパーティから追い出す事が出来ましょうか。仲間なんですから!」
「感謝する少年。某は皆を騙すつもりはなかった。それだけは信じて欲しい」
「魔法使いギルドは信用できないけれど、少なくともあんたがどんな人間かは、今までの言動でわかっているつもりだよ」
「最初はちょっと不安だったけれど、今なら信用できるわ。騎士のオーランドさん」
ミック以外の2人も、オーランドの事を認めてくれているようだ。
「このオーランド・マカブル。このメンバーに選ばれた事を光栄に思う。ありがとう」
吸血鬼騒動でようやくオーランドが本当の意味で、このパーティの仲間だと言えるようになったとミックたちは感じた。
次の日、日が昇り始めた頃にミックたちは出発する事にした。その時に兄は自分たちだけでバーズの町まで向かう事を告げた。
「あんたたちが魔法使いギルドに話を通してくれているから、これ以上手間をかけさせるわけにはいかないよ」
「でも、道中何かあったら……」
「腕っぷしだけなら自信はあるんだ。妹を守るためなら怖くないよ。これ以上失う物もないし」
そう言う兄を不安そうにミックは見る。しかし、自分たちもやる事があるのは事実だった。
「本当に感謝してもしきれないよ。あんたたちのお陰で救われた人がいるって事を忘れないで欲しい。旅の無事を祈っているよ」
そう言って、荷車を引いて兄はバーズの町へ向かう。幌の隙間から妹も手を振ってくれていた。
「ありがとう冒険者の皆さま、そして騎士オーランド様! この恩は決して忘れません!」
兄妹たちの無事を祈りながら、ミックたちもまた再び果ての山脈を目指し、東の方角へ進む事にした。
「そう言えば、次からは戦う前に名乗り上げるのはもうやめてくれよ。またトロールに潰されかねないからね」
アンジーは冗談めかして言ったが、オーランドはちょっと不満そうだった。
「むう了解した。名乗り上げるのは魔物を倒してからにしよう」




