103話
小屋を出ると、外で待っていたリサとアンジーが駆け寄ってきた。
「大丈夫? 吸血鬼はいた?」
「そこの爺さんは暴れなかったか? なんかあったら何時でも踏み込めるよう準備はしていたよ」
確かにこれまでの言動からオーランドに対する信用はそんな物だった。一緒にいたミックだけがさっきの彼の態度を知っている。
「安心召されよ、吸血鬼などただの噂話。中にいたのは病弱な妹と、それを心配する心優しき兄の仲睦まじい兄妹であった」
「どういう事?」
ミックが説明をする。オーランドの言い回しでは回りくどいので率直に、結果だけを伝える。
「病で吸血鬼みたいになる物なのか? 襲われた家畜の件はどう説明するんだい?」
「某は少年とそれをこれから調べに行くのだ。お2人には必要な薬草を集めて欲しい」
魔法使いのリサは薬草の知識も多少あるので、名前だけ聞いて材料を集めるのは可能だろう。
「では行こう少年。村を襲う吸血鬼の正体を探りに!」
ずんずんと先に進むオーランドの後をミックは言われるままついて行く。その様子リサとアンジーの二人は不思議そうに見つめていた。
村に戻ったオーランドは家畜の襲われたという家の家畜小屋を探し始めた。よそ者が村中を歩く姿に、村人から不安な声が届いたのか村長がやってきた。ミックが吸血鬼の証拠を探すためだと説明し、何とか調査は続いたが村からの協力は得られそうになかった。
「柵に血の跡、まずはここか」
柵に黒ずんだ汚れがついた家畜小屋のある家を見つけた。オーランドはそのまま柵の周りを調べ始めたので、家主にミックが一応調査の旨を伝える。吸血鬼よりも独り言を呟きながら家畜小屋の前をうろつく鎧姿の老人の方が、村人たちにとって不気味に見えた事だろう。
「殺された家畜の死体はどうしたのか、少年は聞いて来てくれぬか?」
オーランドの言う通り、家主に家畜の死体はどうしたのか聞くと、嫌々ながらも死体を埋めた場所を教えてくれた。それを彼に伝えると、今度は家畜の埋葬場所へ向かう事になった。
襲われた家畜は皆、同じ場所に埋められたらしく、掘り返されたばかりの地面がむき出しですぐにわかった。
「少年よ、ここを掘り返すのだ」
「え、勝手に埋めた場所を掘っていいのでしょうか……」
「これは大切な調査なのだ! 早くスコップを取り出さぬか!」
ミックは急いで村長の所へ行き、事情を説明して許可とスコップを借り受けてオーランドの所へ戻った。
ミックはオーランドからは小間使いの少年としか見られてないようで、そのまま彼の言う通りに埋葬場所を掘り返す羽目になった。




