第904話 恐竜の魔物が棲む島 母と双子達のLv上げ&妊娠の報告
★アルファポリスのサイトにて、コミカライズの第5話が更新されました。読んで見て下さいね♪
※椎名 賢也 122 『ダンクの想い 1』、椎名 賢也 123 『ダンクの想い 2』、椎名 賢也 126 迷宮都市 地下13階 森の果物 1をUPしました。
誤字脱字を修正していますが、内容に変更はありません。
夕食後に自宅へ帰り、通信の魔道具を起動させる。
『お兄ちゃん、ご飯は食べ終わった?』
『あぁ、沙良。毎日助かるよ』
『樹おじさん、馬刺しを食べられたかな?』
『あ~、バイコーンを従魔にしたばかりで、無理だったようだ……』
やっぱり、食べられなかったみたい。
少し気になっていたから聞いてみたのだけど……。
『そっか……、出すタイミングが悪かったみたいだね。あっ、今日双子達がLv200になって、復元魔法を覚えたよ! スマホかPCのデータを元に戻せるみたい』
『それは本当かっ!? じゃあ俺のPCも元の状態に直せるんだな?』
少々食い気味に質問されて、思わずのけ反ってしまう。
そんなに大切なデータがPCに保存してあったのかしら?
『うん、お願いすれば復元してくれると思う。それに、2人が持っている通信魔法でスマホやPCの通信が出来るようになったの。残念ながら異世界に居る、お兄ちゃん達とは繋がらないけどホーム内では通話が可能だよ。でも電波塔をカルドサリ王国に設置すれば、ホームと異世界でも繋がるから。PCでの検索も出来るようになったし、ネットショッピングも送料無料で家の前まで配達してくれるんだよ!』
『おいおい、随分と情報量が多いな……。双子達は通信系に特化した魔法を与えられたのか……。スマホが繋がるのは便利だ。合流するまで、まだ先は長いが大人しくしていろよ』
『島にしか移動出来ないから心配しないで大丈夫!』
『お前の大丈夫は当てにならん』
最後にしっかりと釘を刺されて、通信を切った。
いや、少しだけ島の周辺を探ってみたいとは思ったけど、1人で行動するのは制限されている。
それに、黒竜を召喚して異世界に戻る手段があると分かっている以上、単独行動は控えたほうがいいとこれでも自制しているのだ。
他に方法がなければ、危険を冒すのも辞さないけど……。現状、やる意味がない。
就寝前にシルバーが心配しないよう、ベッドで横になり、シーリーの魔力水を作った。
金曜日。
ふわふわとした毛が手に当たり、驚いて目が覚める。
私が起きた事に気付いたシルバーが、頬をペロリと舐めると尻尾を振っていた。
どうやら魔力がなくなるのを感知して、また部屋に入ってきたらしい。
従魔とは魔力のパスが繋がっているから、私の魔力残量が分かってしまうみたいね。
お礼代わりに頭を撫でて起き上がり、朝の支度を済ませて双子達に連絡を入れる。
実家に移動して、母と朝食を作っている間に双子達がやってきた。
今朝はホットケーキ、ベーコンエッグ、サラダ、じゃが芋のポタージュ。
ホットケーキには、クインビーの蜂蜜をたっぷり掛けてある。
溶けたバターと合わさると、至福の味になるんだよね~。
「いただきます」
甘いホットケーキを前に、フォークとナイフを手に持った双子達が我先にと口にした。
どうせ、お代わりをするだろうと余分に焼いたものまで完食し、満足そうにお腹をさすっている。
母は2人の食欲を目にして微笑みながら、後片付けを雅人に任せ紅茶を飲んでいた。
「お母さん、少し太った?」
食後にゆったりくつろいでいると、遥斗が母のお腹に視線を向けて不思議そうにする。
ああっ! 妊娠している事を報告するの忘れていたわ。
「やだ、言ってなかったわね。赤ちゃんがいるのよ」
「「ええっ!」」
母の言葉に雅人が振り返り、遥斗と声をハモらせる。
「俺達の妹か弟が生まれるんだ……」
そうぽつりと呟く雅人に、すかさず訂正を入れた。
「妹だよ!」
「まだ性別は分からないのに、沙良は妹だって言い張るの」
ふふっと母は笑って、お腹に手を当てる。
「そっ、そうなんだ……。お母さん、おめでとう」
少しぎくしゃくしながら、雅人が祝福の言葉を掛けた。
実年齢を知っている双子達は弟妹が出来ると聞き、複雑な心境なのだろう。
でも今まで末っ子だった彼らは、妹が生まれたら可愛がりそうだ。
「妊娠しているのに、Lv上げなんかして大丈夫なの?」
母の体調を心配して遥斗が声を掛ける。
「病気じゃないんだから、少しくらい動いたほうがいいのよ。攻撃も魔法がメインだし、心配する必要はないわ」
母は不安そうな表情を見せる遥斗に首を振り、安心させるように答えを返す。
「でも、無理はしないでね」
優しい遥斗の言葉に頷き、母は隣に座っている息子を抱き締めた。
母からの突然の抱擁に恥ずかしそうにしながら、遥斗も抱き締め返す。
「あなた達も、お兄ちゃんになるんだから強くならないといけないわよ」
「うん、もっとLv上げを頑張るよ!」
彼らが冒険者をするために発破をかけた母が、私を見てウインクをした。
うん、これからも沢山魔物が必要って事だよね。
他にも色々聞きたそうな双子達を残して、私は結界を張ってからシルバーと島へ移転した。
島へ行く時は兄に双子達と一緒に行けと言われたけど、敵が居ると分かっている危険な場所に自分より弱い彼らを連れて行けない。
守りながら戦うのは、1人の時より何倍も気を使う。なので、兄には悪いけど島へは私だけで行くよ。
今回は待ち伏せされる事もなかったため、直ぐに上空へ飛び上がる。
マッピングを駆使し、視認した魔物を次々と生きたまま収納していった。
それにしても、飛行する恐竜が見当たらない。プテラノドンは何処に居るんだろう?
10分くらいで実家へ戻ると、双子達が母と楽しそうに話をしていた。
私が姿を消した事には気付いていないようだ。
それから全員でグラウンドに移動して、Lv上げを始める。
最初は及び腰だった双子達も、今では恐竜の魔物に慣れたのか積極的に狩っている。
Lvが上がった母の光合成の魔法は、檻というより繭に近くなっていた。
隙間なく周囲を覆う植物の蔓が、魔物を身動き出来なくして窒息死させている。
緑魔法は思ったより攻撃的だった……。
母は、その場から1歩も動かず魔物を倒せるので妊娠中でも問題なさそうだけど……。
キリのいいところで、お昼を食べに実家へ帰った。
親子丼を準備する母の隣で、糠床からきゅうりと茄子を取り出し、切って皿に盛り付ける。
冷蔵庫に入っている作り置きの惣菜を出して、大根と揚げの味噌汁を作った。
コカトリスの肉を使用した親子丼は弾力があり、味に旨味がある。
上に散らされた三つ葉も、いいアクセントになって美味しい。
「母さんが作る親子丼は、俺のと何か違うんだよね~。やっぱり、美味しい!」
簡単に作れる親子丼だけど、味付けの仕方や卵の火の通り具合で味が変わってくる。
遥斗は、めんつゆを使用しているんじゃないかしら?
「そうなの? 愛情の違いかしらね」
理由に気付いていそうだけど、母は教える心算がないらしい。
母親の味が一番美味しいと言ってもらえるのを、喜んでいたいのだろうか……。
まぁ今は12歳の姿になっているし、結婚相手を探すのはまだ先の話になる。
といっても、ホームで生活するなら相手は限定される。
雫ちゃんは、どちらかを選んでくれるかしら? 2人共、女の子になっちゃったけど……。
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