アンドゥー教司祭対戦
寝落ちしました
「……な、何だこれ……?」
俺は十二階層に上がって、愕然とした。
魔物の群れが千体以上、山積みになって死んでいたのだ。
どいつもこいつもが仲間達と同等の魔物って訳じゃなさそうだが、相当な数がいる。それを全滅させられるなんて、どんな強さなんだろうか。
しかも俺が知る限り、俺達より先に進んだヤツはいない。
ってことは、だ。始祖の創造したこの空間に割り込んで、魔物を殲滅したってことになる。
そんな神みたいな所業、出来るヤツに心当たりは一つしかないんだが、まあ今は有り難いので頭の隅に追いやっておく。
俺はそのまま十三階層に上がった。
「……ようやく来たか、英雄」
小柄で鶏冠のような髪型をしているが偉そうな態度の、コケッティ・コケトリオⅧ世、アンドゥー教の始祖にして司祭。俺と同じ英雄としてこの異世界に召喚されながら、俺と違って貴族の英雄として地位を確立してきたヤツだ。
何故か空中で腕を組み仁王立ちしている。
「……? 俺以外にもう一人、ここに来なかったか?」
「……ふん。十二階層に来たヤツらか。どこかに行ったが、それがどうかしたのか?」
「……別に」
俺はコケッティに答えて内心である人物に感謝する。……俺が一人って聞いたのに「ヤツら」って答えたってことは、少なくとも二人以上がいる訳だ。俺は魔物も人を使うが普通なら体を使うと思うし、人と数えられるヤツで、神みたいな力を持ったヤツなら、心当たりがあった。
来てくれたのか、と思って笑みが零れそうになる。
「……まあいい。俺がお前を倒し、カオスが下の階層にいるヤツらを皆殺しにする。それから下の階層で今も増え続ける乗っ取られた魔物達と戦い続ける自称勇者君を殺せばいいさ」
コケッティはニヤリと嫌な笑みを浮かべる。……そういえば、自称勇者君がいたな。出てこないからすっかり忘れてたぞ。それに俺も結構忙しかったし。結構グランに知り合いが多かったっぽいから、そう簡単には負けないだろう。あの巨大なワイバーンと戦って生き残ってるなら、相当強いハズだ。
「……そうはならねえよ。お前がここで、俺に倒されるからな」
俺は言って、コケッティの能力を思い出す。……元々英雄としての能力は分からないが、アンドゥー神に祈りを捧げることでアンドゥー神装なる力を信者に与えることが出来て、しかもそれらは俺がそこそこ本気で倒そうとしても倒せない程の防御力を誇る。殺そうとしなければ倒せないぐらいだ。
「……確かに俺個人じゃあ、カオスよりも弱い。俺は戦闘より実験や統率の方が得意な英雄だからな」
コケッティはそう言うが、全身から放たれる魔力はその辺の冒険者などは相手にならない程であり、気を感知しても同様だった。
だが、俺とそう大差はなくなっている。最初会った時よりは大きく差を詰めていると思う。だがそう楽観視も出来ない。アンドゥー神装より上の装備でも召喚させられたら、俺の勝機が失せてしまう。
「……そうかよ。だが、手加減してもらえると思うなよ?」
「……当たり前だろ。俺も手加減する気はねえしな。この決着は、どっちが死ぬまでだろ! さあ俺に絶大な力を寄越せ、アンドゥー神!」
俺が告げるとコケッティはニヤリとしながら、右手を上に翳して叫んだ。すると上空から光が降っていて、コケッティの身体を呑み込む。光がコケッティの全身を覆い、やがて鎧を構築していた。
白銀の騎士鎧に、三メートルはある巨大な槍。どちらも矛先を向けられてないってのに、俺を威圧してくる。
「……結局戦闘もこなすんじゃねえか」
俺は笑って言いながら、思考する。……第五術式の弱点は、正直に言って属性攻撃だ。カオスは属性攻撃を得意としないヤツだったからまだ良かったが、コケッティが持つあの槍には雷がバチバチと纏われていて、第五術式の状態でもダメージを受けてしまう。
ならどうするか。第一から第四の術式を解放しつつ、創造術式で神器を作り出して対抗するしかない。
「……第一術式、発動。第二術式、鼓動。第三術式、駆動。第四術式、発生。――ガイアの鎌」
俺は静かに呟いて、第一から第四までの術式と、二メートル程の巨大な刃渡りの大きな神々しい茶色の鎌を出現させる。
ガイアとは、ギリシャ神話における結構上位の神だ。あの時々発する英語の発音が完璧なおっさん神を産んだ母でもある。他にも天の神、海の神、暗黒の神を自力で産んだらしい。タイタンだかティターンという巨神やキュクロプスやヘカトンケイルやギガンテスなどの魔神や怪物も産んだという。
そんなガイアの鎌だが、実は鎌を使ったのはガイアではなく、息子のクロノス。ガイアは鎌を作っただけだ。だがまあ、結局オリジナル神器なので能力も俺が考えたモノだし、いいだろう。
二メートル程の大きさで刃渡りも大きく、神々しい茶色となっている。大地に関係することなら何でも出来る超凄い武器であり、柄の先刃の根元にはリングが三つ、縦に並んだ穴を通っている。
地震や地割れ、土砂崩れや噴火まで操る強大な力を持つ武器で、普通の空間なら使用と躊躇うくらいだ。
「……チッ。雷には土ってか? 嘗めんなよ、クソガキ!」
「……どっちがガキか、教えてやるよ、クソガキ!」
俺とコケッティは互いに怒鳴り、各々の武器を構えて飛翔し、突っ込んだ。
覚えてますかね? アンドゥー教司祭の登場です
名前を適当につけたツケが回ってきた感じがします
あとさすがに長いので、前編後編で分けようと思ってます
必要なら中編も入れます
その辺りの意見があったらどこで分けるかなど、言っていただけたらな、と思います




