報告会
「ふーっ」
すっきりした。
「……ご主人様は意地悪です。Sです。ドSです」
アーティアが髪を洗いながら拗ねたように言う。
「身体を洗われるのは凄い気持ち良かったです。けど、耳元で痴女だ変態だドMだと囁くのは止めて欲しかったです」
一々反応するアーティアが可愛かったから、だが。
「……よくよく考えると、何やってんだ、俺?」
アーティアを後ろから洗いまくった訳だが、理性は残ってたと思ったのに、飛んでたんだろうか?
「ご主人様はテクニシャンですね。夜も期待出来そうです」
……何故ちょっと嬉しそうなんだよ。
「……期待すんな」
それだけ言って、俺は浴槽に身を預ける。
「ご主人様、失礼しますね」
「ああ……」
俺は上を見てボーッとしながら返事をする。
「ふふっ♪」
ピトッ。
「っ!?」
アーティアが俺の脚の間に入り、俺に抱き着いていた。
「アーティア! どこ座ってんだよ!」
「下腹部ですね。当たってないですよ?」
「わかってるけど危ういだろ!」
少しでも気を抜いたら当たりそうだし。
「そっちが当たってるから!」
「ふふっ♪ 今日はご主人様を誘惑しまくりますから」
何で上機嫌なんだよ!
「いいから早くあがれ!」
「命令ですか?」
「お願いだよ!」
「じゃあ、嫌です」
ギュッ、とアーティアは強く押し付けるように抱き締めてくる。
「俺が出るから!」
という訳で、俺は逃げ出しました。
▼△▼△▼△▼△
「……んで、まだ昼だが報告を聞こうか」
俺はアーティア、エイラ、イシアの三人が昼飯を作ってる間に報告会を開いた。
「特に何も情報はない。まあ、最近人工魔物の数が激増してきた、ということぐらいだ。シューヤの言っていた三組は居場所を聞いておいた。途中見かけてな。顔も覚えた」
「オッケ。じゃあ、グランはこれから新たにわかったことがあったら、すぐに飛んでギルドに伝えること。今日は雨だが我慢してくれ」
「わかった」
グランの報告は以上で終わり。今後の指示も出しておいたから、いいだろう。
「特に目新しい報告はないです。でも、グランさんと同じように、最近人工魔物の数が激増してきたのは聞きました。あと、アンドゥー教信者が表に出てきてないそうです。詳しくは知りませんが」
「何かやってる可能性がある訳だな。じゃあ、アンドゥー教信者が何やってるかを重点に調べてくれ。人工魔物の激増してきた原因も、一緒にな」
「はい」
メティも人工魔物増加の情報は入っていた。信憑性が高いな。
「俺達はクエスト受けてたんだが、結構臨機応変、変幻自在、千変万化に使えるようになってきたぞ。あと、例の第何術式も使えるようになった。まあ、一回人工魔物に乗っ取られるというミスはやっちまったが」
「「「っ!?」」」
全員が驚愕に目を見開く。
「人間にも寄生するみたいでな。傷口からじゃないと無理らしいんだが」
「……ディメス、本当?」
「……はい」
ディメスは俯いて言う。
「白帝竜・カイザードラゴンともあろう者が、ご主人様を危険に晒した訳?」
「……」
フィネアがディメスを責めるように言う。
「そうディメスばっか責めんなよ。俺が油断したんだ。大体、人間には寄生しないんだろ?」
「そうね。でも、ご主人様も確かに悪いわ。不用意に人工魔物に手を出したんだから。でも、ディメスはご主人様を守らなきゃいけない理由があるのよ? それなのにご主人様を亡くしかけるなんて」
「落ち着け、フィネア。俺は無事なんだ。次気を付ければいい」
「……」
ディメスは責任を感じてるのか、俯いたままだった。
「……まあ、いいわ。次は容赦しないわよ」
それは、斬るってことだろうか。
「わかっています。フィネアさんの言う通り、私には主を守らなければならない理由がありますから」
……一先ず、安心だな。ってか、俺を守らなきゃいけない理由って何だ?
「フィネア。お前はどうだった?」
「私? 金貨何百枚かは稼いだわよ。魔結晶もいいと思ったけど、午前中で千体倒せるヤツのなんてたかが知れてるわ。だから、XY級を三体、XZ級を二体、Z級を五体、SSS級を十二体討伐したわ。途中人工魔物に寄生されたXY級のライトニング・ホーリー・ドラグーンとかいう雑魚がいたから、討伐したわね」
「「「……」」」
皆唖然としていた。
いや、凄すぎ。
「……お前、ホントすげえな」
さすが女神。伊達に神名乗ってないな。
「……ありがと。でも、XY級も下位の方だから」
フィネアは照れてるようだった。……こういうフィネアも新鮮で可愛いな。
「ご飯、出来ましたよ」
アーティアが言って、三人で数々の料理を運んでくる。
「おっ。美味そうだな」
どれもこれも、元いた世界の料理とは一味も二味も違う。
「これね、イシアが作ったの」
イシアが料理の一つを指差して言う。
「美味そうだな。いただきます」
こっちに箸は少ないがあるらしく、俺はそれを使ってイシアが作ったという餡掛けのようなものを一口。
「んっ。美味いな」
味は餡掛けとは全然違う。酸っぱいな。どっちかといえば酢豚に似てる。
「えへへ。お兄ちゃんに美味しいって言われちゃった」
嬉しそうにはにかみながらエイラを見る。
「良かったね。あっ。こっちは私が作りました」
エイラはイシアの頭を撫でて褒め、汁物を指差す。
「汁物か。いただきます」
ズズッと一口。
「おっ。美味いぞ。二人共料理出来るんだな」
「良かったです。アーティアさんに教わって今日初めて作ったから不安だったんです」
エイラは安心したように一息ついた。
「……これで初めてか。素質あるな。俺なんかすぐ抜かされそうだ」
「シューヤさんも料理出来るんですか?」
「一応な。アーティアが許してくれたら、また今度作るから」
「ご主人様の手を煩わせる必要はありません」
アーティアはきっぱりと言う。
「グラン。飯食ったらギルドに飛んでくれ。人にも人工魔物は寄生するってことと、傷口から入ること」
「それと、XY級の魔物にも寄生出来るようになったこともね。前回は人工魔物の力が弱くてXY級の魔物には寄生出来なかったから」
「了解した」
……これで、俺達の誰が寄生されてもおかしくない状況って訳か。俺はもう寄生されたけど。




