二人の異種族の姉妹
「……寝た?」
「……うん。皆寝てるよ」
囁くような声が二つ。幼い声と大人と子供の中間のような声だ。
「……じゃあ、行くよ」
「……うん」
二つの声が言い合って、台所に忍び足で向かう。
「……この中かな?」
「……多分ね。でも、あんまり食べちゃダメだよ?」
「……うん」
台所にある、この世界の冷蔵庫ーー軽い氷魔法がかかっている縦長のもの。形状はシューヤのいた世界のものとほぼ同じーーを開ける。
「……わぁ」
幼い声が感嘆の声を上げる。
「……い、いっぱい食べ物があるよ? 食べていい?」
「……もう。あまり食べ過ぎちゃダメだよ?」
二つの声が言って、冷蔵庫にある食べ物を漁って口にしていく。
「お、美味しい。お姉ちゃん、美味しいね」
「うん。結構裕福なのかな? ……ちょっと持っていこ」
二人が両手一杯に食べ物を抱えた瞬間、
「……ふあぁ。ん? 誰かいるのか?」
「「っ!?」」
パチッと台所の灯りがつけられ、二人は両手一杯の食べ物を抱えたまま固まった。
「? 迷子か?」
「「……」」
あまりにも見当違いのことを言うシューヤに、二人も逃げるのを忘れて呆れていた。
「……冗談だ。んで? 俺んちで何やってるんだ?」
シューヤは二人の突き刺さるような視線を感じてか、言い繕った。
「……何しにって、食べ物を盗みに来たんです。私はどんな処罰でも受けます。けど、この娘、妹の命だけは助けてください! お願いします!」
年上の少女がシューヤに懇願する。
「……まあ、落ち着け。俺は別に殺そうなんて考えてない。それより、腹減ってるなら飯食うか? 晩飯の残りが少しあったし。俺は冒険者だから、ちょっと食べ物を盗まれても怒らねえよ。すぐに稼げるからな」
灯りの下で見る二人の少女はみすぼらしい格好をしていた。二人共肌色のボロ布のようなものを纏っていて、頭の先から足の爪先まで汚れている。痩せ細っていて、栄養失調になる寸前のようだった。
「……殺さない?」
「ああ。二人共、な」
姉、ボサボサで汚れているが、長い黒髪。肌はやや浅黒く、ちょっと日焼けしているようだ。耳が尖っているので亜人の一種だろう。年齢はシューヤと同じくらいかそれ以下だろう。
「……お、お姉ちゃん」
妹、ボサボサで汚れているが、茶色いショートカット。頭に犬耳、尻に毛がふさふさの尻尾が生えている。おそらく獣人の一種だろう。年齢は小中学生程でロリータだ。
「……な、何で」
「ん?」
「何で盗人に優しくするんですか!? 殺されて仕方がないんですよ!?」
未だに警戒心全開の姉だった。
「……久し振りに言うとーー人を助けるのに理由がいるのか? それもいたいけな女の子だぜ。助けるのは当然だと思うんだが?」
シューヤは当然のように言った。
「……」
姉は自分とあまり年の差がないシューヤが、輝いて見えた。
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「いい食べっぷりだな」
俺はこの家が安い理由らしい姉妹の幽霊の正体だった女の子二人に飯を作ってやった。材料は俺のいた世界と似たようなものを使った。調味料も微妙に違うので、ちょっと時間がかかったが。
「ありがとうございます! こんなに美味しいものを食べさせてもらって!」
姉の方が嬉しそうに笑って、料理を食べまくる。
「美味しいね! お兄ちゃん、ありがとう!」
妹の方も満面の笑みで料理を食べている。
「そんなに美味しいって言われると、作ったかいがあったな。遠慮しないでどんどん食べろよ」
俺は微笑ましい様子でそれを見守っていた。
あれから警戒する姉と不安がる妹の誤解を解いた。……まあ、お兄ちゃんと呼ばれるのは照れ臭いが。
「そうだ。まだ自己紹介をしてなかったな。俺はシューヤだ。ここの家主、かな」
「私は姉のエイラです。見ての通り、ダークエルフです」
ダークエルフか。だから耳が尖ってるんだな。
「……あの、怖くないんですか?」
「何がだ?」
エイラが不安そうな顔をして言う。
「何がって、私がダークエルフだってことです。私達ダークエルフは闇のエルフだと思われているんです。だからダークエルフは人間に迫害されるんですよ」
「まあ、そんな種族なんかは関係ないってのが俺の持論だしな。別に気にしないぞ」
第一、種族間の争いとかよくわからん。
「私は妹のイシア。犬の獣人なんだけど」
「だから耳と尻尾があるのか。似合ってるな」
「……うぅ。優しいお兄ちゃんだよ」
イシアが涙ぐんでいた。
「どうしたんだ?」
とりあえずイシアの頭を撫で撫でしてやる。
「ふえぇーん。お姉ちゃん、お兄ちゃんが優しいよぅ」
さらに泣き出して、エイラに抱き着いた。
「あれ?」
俺なんか悪いことしたか?
「私達は異種族ですけど、ちゃんと血の繋がった姉妹なんです。でも亜人と獣人だからあまり優しくされないんです。優しくされても売り出すのが目的だったり。シューヤさんは優しいのがわかるんです」
そういう環境で育ってきたから身に付いた力なんだろうか。
「ま、もう大丈夫だ。種族を気にしない俺がいるからな」
そう言って、エイラの頭も撫でてやる。
「……」
すると、エイラの瞳に涙が溜まっていき、やがて耐えきれずに泣き出した。
「……」
俺は抱き合って泣き続ける姉妹の頭を、泣き止むまで撫で続けていた。
自分の作品では数少ないロリキャラの登場です。
巨乳派ですみません(笑)
いずれはシューヤにロリコンの扉を開けさせるように頑張っていこうかと思います。




