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エロゲーは当倍速で  作者: 美海秋


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よくないほうの予感は当たる

 これも一部ってことなのか……


 俺がそう思うのも仕方ないことが現在起こっている。


 エロティックタワー。

 地下の姿……


 誰もが冗談だろと思ってしまうようなものが、この世界には存在していた。

 少し前に拾ったカードというものが、お金持ちたちの道楽施設に使われているのをあなたは知った。

 どうやらリーヤが一人で出ていったときには気づいてはいなかったが、カードについてはリーヤが奪って行ったみたいで、入れていた場所からなくなっていた。


 そう考えると、ほぼ確実にリーヤが向かった先というのは決まっていて、地下のどこかだろうことはわかるものの、逆をいえばそれしかわからない。


 よって前と同じようにそれっぽいものがある場所を探してみた。

 すると、とある場所に行きついた。

 それは、エロティックタワーの後ろだった。


「こんなところに何かあったのかよ」

「へえ、すごいところだ」


 一緒にいたカナも少し関心する場所だった。

 不自然に開いた場所。

 そこに俺たちは入ることになったのが少し前。


 金持ちたちの道楽によって作られたらしいそこは普通ではなかった。


 エロティックタワーの地下。

 何かがあるとは思ってはいたが、そこには見たことがないモンスターたちがいた。


 モグラのような見た目をしたやつ、ネズミのような見た目のやつなどで、色は確かにピンクではあるものの、知らない存在に驚く。


「剣の錆にすらならない」

「やめろ、錆たら余計になまくらになるだろ」


 俺はすぐさまカナが言っている言葉にツッコミをいれるが、確かにナオの言っていることは正しかった。

 地下で、見たことのないモンスター。

 かなり警戒をしているものの、弱点があまりにも効果的だったからだ。


 地下ということもあり、光に弱いモンスターたちは俺が持ってきていた、小さな明かりというアイテムによって視力を奪われ、結果悶えているところをカナが剣で斬ると簡単に倒せた。

 この小さな明かりというアイテムは、ゲーム時代には何に使えるものなのか不思議に思われていたアイテムだ。

 一応見た目を変える……アイテムをつけた場所を光らせることができるというもので、一部のものたちには嬉しいアイテムではあった。


 まあ、普通に使う分には要らないアイテムではあったが、今回はそれが役に立っていた。


「そのアイテムがなければ、確かに拙者の攻撃は当たらないかもしれません。ですが、なまくらとは失礼では?」

「仕方ないだろ、錆びたら斬れないからな」

「わかっています。拙者にはちゃんと対策がある」


 カナがそう言って胸元をゴソゴソと漁る。


「な、何をやってんだ?」


 急なことに驚くと、カナは自信満々に言う。


「ふふ、邪魔だと思って押さえつけてはいますが、その押さえつける場所に一緒にいれられることに気づいただけですよ」


 カナが胸元から取り出したのは、石だった。


「ふふ、これが何なのかわかるか?」

「あー、砥石(といし)とか?」

「な!いや、さすがだな!」


 俺は当てずっぽうで答えたというのに、どうやら正解を引いたようだ。


 俺からすれば、ただの石にしか見えないが……


「だったら、どんどんモンスターを倒してくれ」

「任せろ」


 嬉しそうにカナは自分の胸を叩く。

 すると、先ほど砥石を取り出したときに緩んだのだろう、何がとは言わないがそれは強調される。


 うん、さすがはエロゲーだな。

 ちゃんとテンプレだ。


 俺はそれを見てそんなことを思いながらも、さらに奥へと進むことになった。


 その後モンスターも順調に倒し、しばらくはうまくいっていた。

 地下の空間は広いというよりも、狭く入り組んでいて、通った場所にあの光らせるアイテムを適当に飾っていくことで迷うことも防げているし、さらにはモンスターが再発生することもない。


「順調すぎて嫌な予感がするな」

「ふふ、拙者がいるのだ。順調にいって当たり前だ」


 カナの自信満々な発言には慣れてしまったが、だからこそ嫌な予感がしている。


 今は地下を探索して一時間ほどたっており、モンスターを処理したりしていたこともあるが、何かがありそうな場所には到達できていない。


「はあああ!」


 モンスターはいつものように怯んでいるうちにカナが倒す。


「お疲れ」

「ああ……ふむ……」


 カナに声をかけたが、何やら剣を見て悩んでいるようだ。


「砥石かけるのか?」

「……そうだな」


 何か決心すると、カナは胸元をあさり出す。


 斬れ味が悪くなったわけではないが、探索を開始してからそれなりにモンスターを倒していることもあり、そろそろやっておかないと不測の事態が起こりかねない。

 俺は少し周りを警戒するように見渡しながら思う。


 あ、そういえば砥石の使い方って知らねえな……

 見ておく……か?


「はあああ?」


 俺がそう声を出すのも仕方なかった。

 だってそこにいたのは、砥石に剣を全力で叩きつけるカナの姿だったからだ。


 止めることが間に合うわけもなく、剣は砥石に勢いよく当たると折れる。


「す、すまない……折れてしまった」

「で、でしょうね」


 俺は頭を抱えたくなるのをなんとか我慢しながら、剣が折れて悲しそうなカナを見ることしかできなかった。


 どうすんだよ、これ……


 カナの剣が折れた。

 よって、攻撃力がかなり低くなったことは確実だ。

 今のところ一撃でモンスターは倒せているが、俺が盾を使って倒すことになれば、どれほどの時間がかかるか想像したくない。


 そんなタイミングで何かの気配がして、俺たちは隙間になんとか隠れる。


「まあ、こうなるよな」

「拙者の剣の錆にできたのに」

「うるさくするなよ」

「わかっている」


 剣が折れた音によって近寄ってきたのか、ゆっくりと暗闇からやってきたのは、三つの首をもつ狼のような見た目の存在。

 見た目で、そいつがなんなのかわかる。


 ケルベロスだ。


 やっぱ、こういうタイミングでくるよな。

 モンスターを見ながらそう思う。


 何かが起こるタイミングで強敵が出てくる。

 それは展開的にはありきたりなものだからだ。


 どうするんだよ、本当に……


 俺はここからのことを考えると、絶望しかなく本当に頭を抱えるのだった。

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