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エロゲーは当倍速で  作者: 美海秋


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わからない選択と手がかり

「よ……るん……」(よ!何をしてるんだ?)

「見てわからないのか?人探しだ」

「なん……いる……」(なんだ、急いでいるのか)

「だったら、どうしたんだ?」

「いや……ん……くち……をす……ない……な」(いや、この学園長に、いい口の利き方をするじゃないかと思ってな)


 楽しそうに笑っているのは、学園長だった。


 何故こんなタイミングで学園長と出会うことになるんだ?

 俺はわけがわからなかったが、体が勝手に動くということはイベントなのだろう。


 そうなると、何を言っているのかはわからないとはいえ、重要なはずだとだけはなんとなくわかる。


「しょ……でら……いう……の……とき……とを……か」(少年が、ここを出られるときというのは、一人の女性を選んだときだけだということをわかっているのか?)

「それくらいはわかっている」

「だ……のこ……ちが……な」(だったら、ここであいつのことは諦めて、違うやつを選ぶんだな)


▶そうする

 そうしない

 本を開く


 何かの選択を迫られているようなことだけはわかる。

 倍速のせいで、それがなんなのかはわからない。


 わかることは、イベントだからこそ、主人公自身の体と感情が少しだけ乗り移っているように感じるところだろうか?

 でも、どうしてそう感じるのだろうか?

 これまでは選択肢があったところで、特に何も感じなかったのに……


 おかしい。

 これはイベントだ。

 主人公が選択するものであって俺が何か感じるはずもない……というのに、この胸のざわめきはなんだろうか?


 イベントのせいで、体は思うように動かないはずなのに……


 あー、くそ……

 正解なんかわからない。

 でも、こちらを見ている学園長の視線がどこか俺のことを上から見ているように思えて、選択肢をどちらにするのか決まった。


 そうする

▶そうしない

 本を開く


 内容は正直わかっていないけれど、選ぶならこちらだ。


「はは……そう……これ……やる……よ」(ははは!少年ならそう言うよな。これだけは言ってやる。頑張れよ)

「はい」


 それだけを言うと学園長は去って行く。

 俺は学園長の姿が見えなくなるまで、体の自由はきかなかったが、見えなくなるとイベントが終わったのか動くようになる。


「いつものことながら急に起こるな」


 イベントはいつものことだ。

 だけどイベントが起こった場所というのは、学園の外に繋がっている場所に一番近いところだ。


 絶対に何かあると俺は学園内に戻っていった学園長の方向ではなく外に視線を向けた。


 するとすぐに俺が見つけたのは、真剣な眼差しで何かをしているリーヤだった。

 聞き込みが終わったということだろうか?


 最初はそう考えていたが、よくよく考えるとおかしいことに気づいた。


 どうしてこのタイミングで、何かをやっている?

 だけど行けるのか?


 そう、俺が一番不思議なところはそこだ。

 リーヤがいる場所というのは、本来いけるはずもない場所。


 学園の外だったからだ。


 そこにいるということは、俺も行けるということなのだろうか?


 恐る恐る進むと、いつもは壁がある地点を少し通り過ぎることができた。

 このままいけると、俺はリーヤがいる方向へむかって歩を進めるが、途中で見えない壁にぶち当たる。


「いてぇ……」


 さすがに予想外の出来事で俺はぶつけたおでこの辺りを擦りながら、手を前にやる。

 するとどうやら、少し広くなっただけで壁はあるようだった。


「学園から出れたって、ちょっとじゃねえかよ」


 確かにこれまでとは違うだろう。

 でも、ほんの少し出れるようになったところで意味があるのか?


「いや、あるから行けるようになったんだよな……」


 この世界を考えると、必要がないことなどないはずで、ある程度のことに意味がある可能性が高いからだ。

 間違っていたとしても、少し時間がとられる程度だ。

 だけど、この場所を探索することでイベントが進むようなことがあれば、戻ってくるのが面倒になることは確実だった。


「やるしかないか……」


 俺は学園の周りを歩いて確認する。

 どこに何か手がかりがあるかわからないからだ。


 そうして探索しているうちに一つだけあるものを見つけた。


「これは……」


 手がかりだろうとわかるようなそれは、一枚の紙だ。


 この感じは少し前に見たことがあるが、書いてある内容は今回違っている。

 紙に書かれているのは、学園を退学するための届だった。


 日付などは書かれていないし、途中でぐちゃぐちゃしたのか名前も途中だが、誰かはわかる。


「チカが書いたものだな」


 でも、どうしてこの場所に落ちているんだ?


 俺は疑問に思いながらも、紙の後ろを見る。

 そこには、何かメモをとったのだろう。

 書きなぐってあった。


 急いで書いたのだろう……内容は理解できなかった。


 なんだよ。

 あたいに行けばって……


 他には書かれていない。

 そして、いつの間にか外にいるはずのリーヤの姿もどこかにいったのか見当たらなくなる。


「どうしていいのかわからなくなったな」


 攻略がわからないからこそ、次にすることをちゃんと考える。

 手に入ったのは、何か手がかりが書かれた退学届のみだ。


「これの意味がわからないことには、イベントが次に進まないってことだよな」


 そこで俺は思う。

 もし、ここでイベントを無視したらと……


 イベントは強制的に終了するのか?

 でも、そうなるとチカはどうなる?

 俺もイベントを進めないせいでゲームオーバーになったりしないのか?


 頭にはそんな疑問ばかりがよぎる。


 試してみたいと、少しだけ頭によぎったところで俺は頭を振る。

 ダメだ。


 だってそれは選択から逃げることになるはずだからだ。

 今まで現実から逃げていたというのに、また同じになるのではないのか?


 そこまで考えてからいいやと頭を振ると、言葉にする。


「ま、その選択ってのも何かわからないんだけどな」


 結局のところ、自分自身もどんな内容からそれを選択しているのかがわからないのだ。

 それを考えると、今更だ。


 だから今考えることは一つ。

 後悔をしてもいい。

 でも、納得ができるように……


「よし!」


 俺は気合を入れ直すと、また探索を進めるのだった。

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