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エロゲーは当倍速で  作者: 美海秋


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イベントは進まない?!

 情報収集をすることになった俺は、使えるかわからないが、すぐに本を開いた。


 使えるかわからなかったが、今のままではどうしようもなく。

 何かに頼りたくなるのも仕方なかった。


「お、何か書いてあるな」


 望み薄だと思っていたが、なんとか情報を得られそうだ。

 俺は書かれた内容に目を通す。


「ほお、情報収集はチカと関係がある人に聞けばいいだろう……ってそんなことは知ってるわ。聞く内容を教えてくれって!」


 俺は本に少しイラつきながらも、さらに書かれていることを読む。


「情報収集が終われば、必然と行く場所はわかる。ヒントは五十音にある?って答えを書けよ、答えを!」


 俺は内容に思わずツッコミを入れる。


 だけど、こういうところだ。

 元々エロゲーを何周もしていたとき、会話を選択するイベントなどはどれがいいのかをメモしていたりもしたが、なぜかある謎解きの要素としては毎回楽しめるようにとメモなどを残していなかった。

 この本でも同じように攻略については何も書かれていなかった。


「いいんだよ、ゲームのときはいざとなれば調べればいいからな。でも、そうじゃないだろ」


 今は現実として起こっているため、少しでも情報が必要だ。

 それなのに今はない。


「どうする?あいつらに声をかけてみるか?でも、正解を引かなかったときにどうなる?いや、考えても仕方ないか?」


 悩んでいても仕方ない。

 すぐその考えが頭をめぐる。


 いつもなら逃げればなんとかなるかもしれないが、この世界ではそうではない。


 自分がいなくても現実が勝手に進むものではない以上は、やるしかない。

 それくらいのことはわかっている。


「一番無難なところからいくか……」


 最初に向かうのはナオからだ。


 問題はどこにいるか、わからないところだが……


「一応いそうな場所を探してみるか」


 俺は一応考えて最初の場所に向かう。

 その場所とは、寮へと向かう扉の近くだ。


 なぜここを選んだのかというのは、最初のイベント。

 スカートめくりの際に出会った場所がそこだったからということもあるが、イベントと知らずに移動した場合。

 寮への入口で足止めをされているのではないのかと考えたためだ。


「あー、自分が怖いな」


 こういうことを言っていいのかはわからないが、俺の予想は当たっていたらしく。

 その場所にはナオがいた。


 イベントのためなのか体は動かせないようで、近づいたところで無反応だ。

 ここで普通にエロゲーに入れただけの主人公ならば、いたずらをするところだろうが、そんなことをしてしまうと違う意味でゲームオーバーになってしまう可能性もあるだろう。


 さすがに面倒なことだけは避けるべきだよな。


 そう考えた俺は話しかける。


「聞きたいことがあるんだが」

「なん……おう……ま」(なんでございましょうか、坊ちゃま)


▶チカについて聞く

 チカについて聞かない


 俺はすぐさま上を選択する。


「チカ……わ……ので……で……」(チカさんについて……私は詳しくはないのですが、何かあったのでしょうか?」

「本当か?」

「はい……ち……たか」(はい。本当です。チカさんに何かありましたか?)

「いや、知らないならいいんだ」

「いま……わ……しま……」(今からでも、私がお調べ致しましょうか?)


 ▶お願いする

 お願いしない

 本を開く


 何を聞かれてこの選択が必要になったんだ?


 倍速のせいでわかることは、チカのことについてナオは知らない。

 そこから何かを俺がお願いするのかどうかを聞かれているという展開だ。


 使えるかはわからないが、ここは一つ。


 お願いする

 お願いしない

▶本を開く


 先ほどのことがあったせいで信用をしていないが、俺は本を開く。


 頼む使える内容であってくれ!


 俺はそう願いながら本を開くと、そこに書かれていたのは……


 お願いするかどうか、それは君のやりたいようにするがいいさ……だと?

 ふざけんな!

 なんて内容だ。


 さすがに書かれた内容が適当すぎるだろと俺は憤慨する。

 結局のところ、本については使えなかったからだ。


 だけど、ここで悩んでいても仕方ない。


 ここの選択肢で出た言葉は、一緒に情報を集めませんか?

 だと思うことにすれば、どれを選択すればいいのかが自ずとわかるはずだ。


 お願いする

▶お願いしない

 本を開く


 できれば一緒に行動するのは勘弁してもらいたい。

 俺は、これを選んだ。


「わか……た……した……い」(わかりました。また、何かありましたら頼ってください)

「ああ」


 今回はこれで、会話は終わったようだ。


 前のスカートめくりのときはここでナオが何かを言ってきたりしたが、今回は何も言うことはなかった。

 まるで、イベントが個々であるのではなく。

 続いているかのようにだ。


「身構えたが、大丈夫そうだな。となると、ヒロイン全員に話しかけてみるか」


 リーヤとチカは除くと、カナとヤンだけだ。


 あの二人が何かを知ってるとか、考えたくないな……


 毎回のようにトンデモ発言をする二人なので余計にそう思うが……なるようになるという考えでどうにかするしかない。


 俺はまたスカートめくりのときにいた場所へと向かった。


「いるな」


 一人目が予想通りであれば、二人目も同じ。


 屋上にはカナがいた。

 木刀を前に瞑想のような形をとっている。


 近づくだけで、話しかける前に会話が始まる。


「この……ただ……か」(この気配はあなただな?どうかしたか?)

「ああ、聞きたいことがあってな」

「なん……」(なんだ?)

「チカのこと、知らないか?」

「せ……らな……」(拙者にはわからないな)

「そうか」

「ちか……くて……な」(力になれなくて申し訳ないな)

「いや、気にするな」

「ま……の……なと……けて……」(また、拙者の力が必要なときは声をかけてくれ)

「わかった」


 今回に限っていえば、選択肢はなく普通に会話を終える。


 何事もなかったことを悲しむべきか喜ぶべきか……


 何とも言えない気持ちになりながらも俺は次へと向かう。


 ヤンがいたのは、あのときの場所だ。

 スカートめくりのときみたいな、誘うようにして足を組み替えることもなく座っている。


「いいか?」

「ええ」

「チカのことについて聞きたくてな」

「チカ……か」(チカさんですか?)

「ああ、何か知らないか?」

「わた……いる……お……やん……らい……ね」(わたくしが知っていることといえば、お金に関して悩んでいることくらいになりますね)

「そのお金については?」

「くわ……ん……でわ……くろ……と」(詳しいことは個人情報ですのでわかりませんが、苦労をしていると)

「そうか……」

「はい……ので……ほう……か?」(はい……ですので、わたくしのほうでもお調べ致しますか?)


▶お願いする

 お願いしない

 本を開く


 これは同じパターンだな。


 ナオと話したときと同じ選択肢がでたため、同じように選ぶ。


 お願いする

▶お願いしない

 本を開く


「そう……」(そうですか)

「また頼りにする」

「わか……」(わかりましたわ)


 こうして三人との会話が終わった。


「よし、これで終わりだろう……って?うん?」


 おかしいことに気付く。

 これでイベントが進むのであれば、俺の体が自由に動くこと自体がおかしいからだ。


 何かを見逃している?

 全員と会話をしたのに?


 俺はわけがわからずに上を見上げた。


 だが、結果何も答えは見つからなかった。

 うん、当たり前である。


 こうなれば片っ端から知ってそうな人に聞けばいい。

 俺はそう考えて学園内を動き回るはめになるのだった。

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