神具? 鉄を探す道具
燃料資源については、とりあえずユーカリの木を植えた。数年は掛かるだろうけど、これは気長に待つしかない。
「さて……」
私は次の問題を考える。
お風呂を作るなら、燃料だけあっても駄目だ。
湯を沸かす設備が必要になる。
ボイラーとまでは言わない。
でも、最低でも湯を沸かすための鉄製の窯くらいは必要になりそうだ。
「……鉄か」
この村には鉄を扱える鍛冶職人がいる。
でも、その材料となる鉄はどうしているんだろう?
「そもそも、この世界では鉄をどうやって手に入れてるの?」
私は少し考える。
地球なら、鉄鉱石を採掘して精錬する。
昔の日本なら、砂鉄を使っていた。
「砂鉄……」
ネットで調べてみる。
川沿いなどで採れるという話もある。
動画を見ると、実際に砂の中から砂鉄を集めている。
「でも……」
私は画面を見ながら首を傾げる。
「そんな物、そう簡単に見つかる?」
この世界の川を全部歩き回って探すわけにもいかない。
「金属探知機……?」
一瞬思いついた。
「いや、違うな」
金属探知機なら鉄を探せる。
でも、それを持ち込んだら、結局は地球の道具に頼ることになる。
「川沿いに砂鉄?」
それとも――
「鉄そのものを持ち込む?」
鉄材を地球から持ってくるだけなら簡単だ。
でも、それでは意味がない。
使えば終わり。私に何かあったら、この世界から鉄を手に入れる方法がなくなる。
「やっぱり、この世界で鉄を手に入れられるようにしないと」
村の鍛冶職人が、自分たちで材料を確保できるようになったほうがいい。
「うーん……」
私はしばらく考える。
そして――
「ミカミさんにメールで聞いてみるか」
ダメ元だ。
『ミカミさんへ。
こっちの世界で鉄を見つけたいんだけど、何かヒントとかある?いや、もう鉄自体どこにあるか教えて!』
送信。
「……あとは返信待ちか」
パソコンを眺めていると……すると――
ピロン!
「はや!」
『それなら見つけられる物、さとるに渡しとくから使ってくれ』
「……何かしら?」
あまりにも返信が早い。
「やっぱり金属探知機?」
◇
しばらくすると――
「姉さん、いるかー?」
鞄の向こうから、さとるの声が聞こえてきた。
「いるよー!」
「ミカミさんから荷物届いたよ!」
「はい! 受け取るから持って来て!」
「分かった!」
私は鞄の入口から手を出して、さとるから荷物を受け取る。
「さて、何かしら……?」
箱を開けてみる。
「……はい?」
中から出てきた物を見て、私は固まった。
「これは……」
細長い棒のような物が二本。
先端には小さな金属製の部品。
「確か……ダウジング?」
水脈などを探す時に使う、あの道具だ。
「……え?」
私は箱の中を探す。
すると、一枚のメモが入っていた。
『それで探して!』
「……」
私はメモとダウジングを交互に見る。
「は?」
こんな物で!?鉄を探す?
「いや待て……」
ミカミさんが送ってきた。
しかも、神様だ。
「普通のダウジングじゃない……?」
私は二本の棒をじっと見つめる。
「まさか……」
背中に嫌な予感が走った。
「これ……神具!?」
普通のダウジングなら、鉄を探せる保証なんてない。でも――神様が「これで探せ」と言っている。だったら。
「……試してみるしかないわね」
私はダウジングを手に取った。
果たして、本当にこれで鉄が見つかるのだろうか。
それとも――神様お手製の、よく分からない道具なのだろうか。
「……まあ、神具だったら便利そうね」
私は少しだけ期待しながら、小屋の外へ出た。
鉄探し。まさかこんな方法で始まるとは思わなかった。




