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『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者: 稔


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神具、鉄を探す

「まさか、ダウジングで鉄を探す羽目になるとは……」


私は手にしたダウジングを眺める。


「神具になっていたら、確かに見つけられそうな気はするけど……」


普通のダウジングなら、本当に鉄が探せるのかは分からない。

でも、これはミカミさんが送ってきた物だ。

しかも、


『それで探して!』


というメモ付き。


「……まあ、試してみるしかないか」


私はダウジングを両手に持つ。

確か、こうやって両手で持って歩いて、何かに反応すると棒が動くんだったはず。


「ダメ元で試してみますか!」


目的は決まっている。


「鉄をゲットして、お風呂計画に使うわよ!」


鉄が見つかれば、村の鍛冶職人さんに相談できる。それだけでも大きな一歩になる。


「んー……」


私は周囲を見渡す。


「やっぱり川沿いに行った方が良いのかな?」


地球では、川で砂鉄が採れるという話を聞いたことがある。ここでも川で採れると聞いた。

ならば、川沿いを調べてみるのもいい。

でも、まずは――


「小屋から川まで、やってみるか」


川へ向かう途中に何かあるなら、それも分かる。私はダウジングを両手に持ち、そのまま歩き始めた。


とこ、とこ、とこ。


森の中を歩いていくと木々の間から差し込む光。葉が風で揺れる音や鳥の声。


「うん。森の中はやっぱり良いわね」


目的は鉄探しだけど、こうして森を歩くのも悪くない。

ただ――


「……ん?」


私は手元を見る。

ダウジングの棒が、ほんの少し動いた気がした。


「気のせいかな?」


もう一度、歩いてみる。


とこ、とこ、とこ。


「……」


なんとなく、棒が前に引っ張られているような気がする。


「いや……」


私は足を止める。


「気のせいだよね?」


神具だと言われても、さすがにこんな簡単に反応するものなのだろうか。


「でも……」


私は少しだけ前へ進んでみる。

すると――


「ん?」


棒が動いた。今度は、はっきり分かる。


「動いた!?」


私は思わず立ち止まった。

左右に持っている棒が、同じ方向へ向こうとしている。


「えっ……」


ダウジングを持ったまま、反応する方向へ少し歩く。すると、また棒が動く。


「……本当に反応してる?」


私は地面を見る。

ここは森の中で川沿いでもない。


「しかし……」


もし本当に鉄に反応しているのなら――


「鉄って、森の中でも取れるのかしら?」


砂鉄なら川沿いというイメージがある。

でも、鉄鉱石なら話は別だ。

地面の中に鉱石が埋まっている可能性だってある。


「……これは掘ってみないと分からないわね」


私は周囲を見渡す。

反応している場所を覚えておかないといけない。


「目印を付けておこう」


近くの木に目印を付ける。

そして、もう一度ダウジングを当ててみる。


「やっぱり、この辺りね」


よし。場所は分かった。


「……でも」


私は自分の手元を見る。


「スコップ、忘れた」


しまった。

まさか本当に反応するとは思っていなかった。


「最初から掘るつもりで来てないもんね……」


一応、鶴嘴も必要だろう。

土を掘るだけならスコップでいい。

でも、もし本当に鉱石だったら、固い地面や岩を掘る必要があるかもしれない。


「鶴嘴は……」


確か、地球の店に置いてある。


「問題ないわね」


さとるに頼めば、鞄を通して持ってこられる。


「じゃあ、一旦戻るか」


私は目印をもう一度確認する。


「ここね」


場所を覚えてから、小屋へ戻る。

まさか、本当に反応するとは思わなかった。


「……神具、恐るべし」


私はダウジングを眺めながら歩く。

鉄があるのか。それとも、別の金属なのか。

それすら、まだ分からない。


「とりあえず、掘ってみるしかないわね」


こうして、異世界での初めての鉄探しは――思わぬ森の中から始まることになった。

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