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『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者: 稔


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異世界の植物を観察してみよう

「うーむ……」


昨日、蒔いたばかりのユーカリから芽が出た。

さすがに気になる。


「普通のユーカリなら、発芽まで……」


私はノートに書き込む。


「こっちのユーカリは翌日」


そして、その下にもう一行。


「じゃあ、一週間後はどうなる?」


感覚だけで判断していても、正確なことは分からない。


「やっぱり記録をつけたほうがいいわね」


毎日、どのくらい成長したのか。

葉が何枚になったのか。

茎がどのくらい伸びたのか。

状態に変化はあるのか。


簡単なものでも記録しておけば、後から見返すことができる。


「鑑定だけじゃ、私しか分からないしね」


私の鑑定なら、


【状態:良好】

【成長可能性:非常に高】

【+神】


なんてことまで分かる。

でも、それを私が見ているだけでは意味がない。村の人たちが植物を育てる時にも使える情報にしておいたほうがいい。


「例えば……」


私はノートに簡単な表を書いていく。


植えた日に、発芽した日。一週間後、一か月後。その時の大きさや水やりの回数。天候。


「これくらいなら、誰でも見られるわよね」


鑑定能力が私にしかない以上、普通の人でも確認できる情報にしておく必要がある。


「将来的にユーカリを村で育てるなら、なおさらね」


私一人がずっと管理するわけではない。

燃料用の木として使うなら、村の人たちが育てることになる。

ならば、成長の記録が残っていれば役に立つ。


「よし。これで記録していこう」


私は最初の記録を書き終えた。

そして、ふと周囲を見る。


「……そういえば」


ここには、ユーカリだけがあるわけではない。

この世界にも、元々たくさんの植物がある。

村の畑で育てている作物。森に生えている木。

道端の草。薬草として使われている植物。


「こっちの植物も、ちょっと観察してみようかな」


別に、本格的な研究をしようというわけではない。


「研究っていうほど大げさなものじゃなくて、観察ね」


どんな植物なのか。どのくらいで育つのか。

どんな環境を好むのか。食べられるのか。

何かに使えるのか。


地球の植物と似ているものもあれば、まったく違うものもあるかもしれない。


「鑑定だけじゃ分からないこともあるしね」


実際に育ててみるて、見てみる。

村の人たちに聞いてみる。

そうやって少しずつ知っていけばいい。


「異世界の植物観察……」


なんだか少し面白くなってきた。

私はノートを持って、村へ向かうことにした。


「まずは、村で普通に育ててる植物から見てみようかな」


ユーカリの成長記録。


そして、この世界にもともと存在する植物の観察。こうして、ちほの新しい日課が一つ増えた。

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