翌日に芽が出た!?
「……ん?」
私はユーカリを植えた場所へ向かっていた。
昨日植えたばかりの苗木を確認するためだ。
それと――
「種も見ておかないとね」
昨日、ネットで発芽方法を調べてから、試しに少しだけ種を蒔いておいた。
まだ一日しか経っていない。
さすがに何も変わっていないだろう。
そう思っていた。
「……あれ?」
地面を見る。
「……芽?」
小さな緑色の芽が、土から顔を出していた。
「え?」
私はしゃがみ込む。
「いやいや……」
昨日、蒔いたばかりだ。
「……ユーカリの種を蒔いた次の日には、芽が出るって……」
私は芽をじっと見ると間違いなく芽だ。
「これは普通のこと?」
それとも――
「+神のせいでは……?」
頭に浮かんだのは、あの表示。
【+神】
果樹にも付いていた。竹にも付いていた。
そしてユーカリにも付いている。
「……」
私は芽を見る。
「これ、普通なのかな?」
ネットで調べた発芽日数とは、明らかに違う気がする。
「いや、でも……」
発芽条件が良かっただけかもしれない。
温度がちょうど良かったとか。
土が合っていたとか。
水やりが良かったとか。
偶然、発芽の早い種だったとか。
「……そういうこともあるわよね」
私は自分に言い聞かせる。
でも――
「昨日蒔いて、今日芽が出るって……」
やっぱり早い。
「これはこれで良いのか?」
私は少しだけ不安になる。
もし本当に「+神」の影響で成長が早くなっているのなら、それ自体はありがたい。
薪として使えるようになるまでの時間も短くなる。お風呂計画だって、早く進められる。
「でも……」
私は周囲を見渡す。
「この世界がおかしくなるって事、無いわよね?」
一つの植物が早く育つくらいなら問題ない。
でも、もし何もかもが異常な速度で成長するようになったら?
森が一気に広がったり。
植物が大きくなりすぎたり。
生態系が変わったり。
「……うーん」
考えれば考えるほど、不安になってくる。
「まあ……神がやっている事だから、そんな無茶な事はしないと思うけど……」
そう言いながら、私は空を見上げた。
「いや……神だから無茶も出来る……」
「…………」
自分で言っておいて、余計に不安になった。
「考えるの、やめよう」
結局、今の私には何も分からない。
ならば、毎日ちゃんと観察するしかない。
苗木の状態を見る。種から出た芽を見る。
成長速度を記録する。
何か変化があれば、その時に考えればいい。
「深く考えないで、ゆっくり種やら苗木やらを観察するしかないわよね……」
私は小さな芽を見つめる。
「まあ、元気に育つなら、それでいいか」
そう言って、芽の周りに水を少しだけ与える。
「頑張って大きくなってね」
小さな芽は、何も答えない。
ただ、朝の光の中で静かに葉を広げていた。
……その成長速度が、本当に普通なのか。
それは、まだ分からない。




