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『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者: 稔


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ユーカリにも「+神」?

「……鑑定してみようかな」


私はユーカリの苗木を一本手に取った。


「ちょっと待って、さとる!」


「なに?」


「果樹や竹に出ていた、あの表示」


私は苗木をじっと見る。


「+神」


「……ああ」


さとるも思い出したようだ。


「ユーカリにも出るのだろうか」


「それを確かめたいの!」


私はユーカリの苗木を持ったまま、鑑定を使ってみる。


「鑑定!」


……。


「……ん?」


何も出ない。

いつもの表示が、まったく表示されない。


「おかしいわね?」


もう一度。


「鑑定!」


……やっぱり何も出ない。


「なんで?」


私はユーカリを見つめる。


「……あ」


ふと思いついた。


「もしかして、地球だから?」


「地球だから?」


「うん。鑑定って、こっちの世界に来てから使えるようになったじゃない?」


言葉や文字が分かるようになったのも、この世界に来てから。鑑定だって、この世界に来てから普通に使えている。


「もしかすると、地球の物には使えないのかも」


「なるほど」


さとるが納得する。


「じゃあ、早く受け取ってよ!」


「分かった! 分かった!」


私は急いでユーカリの苗木を鞄の中へ入れる。

そして、こちら側へ運び込んだ。


「よし……」


もう一度、ユーカリの苗木を手に取る。


「鑑定!」


今度は――表示が現れた。


【ユーカリの苗木】

【状態:良好】

【成長可能性:非常に高】

【+神】


「……」


私は黙って表示を見る。


「……やっぱり」


さとるも横から覗き込む。


「出た?」


「うん……」


やっぱり、この世界で鑑定しないと表示されないらしい。それ自体は分かった。

でも――


「問題は、こっちよ」


私は最後の一行を指差す。


【+神】


「……やっぱり付いてる」


果樹にも。竹にも。そしてユーカリにも。


「これは……」


私は腕を組んだ。偶然なのか。

それとも――


「神様が、何かしてる?」


「どうだろうな?」


さとるも首を傾げる。


「でも、ユーカリにも付いてるってことは……」


「そうなのよ」


私はユーカリの苗木を見る。


「やっぱり、私が地球から持ってきた植物には、何かあるのかもしれない」


とはいえ、今のところ「+神」が何を意味しているのかは分からない。


「まあ……」


私は苗木をそっと置く。


「育ててみれば分かるか」


結局、今できることはそれしかない。


「まずは植えよう!」


ユーカリ二十本。新しい燃料用の木として、この世界で育つかどうか。


そして――「+神」が何を意味するのか。

それも一緒に、確かめていくしかなかった。

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