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『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者: 稔


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ユーカリの苗木が届いた!

「姉さんー? 居る?」


「いるよー!」


小屋の中で作業をしていると、いつものようにさとるの声が聞こえてきた。


「ユーカリの苗木と種が来たよ!」


「おーー!!」


私はすぐに外へ出る。


「どれどれ?」


そこには、いくつもの苗木と種の袋が置かれていた。


「これがユーカリかー!」


実物を見るのは初めてだ。

葉っぱを眺めながら、しげしげと観察する。


「しかし、何でユーカリ?」


さとるが不思議そうに聞いてくる。


「ああ、成長が早くて油分が多いのよ」


「油分?」


「薪に使う予定!」


私はユーカリの苗木を見る。

お風呂を作るには、燃料が必要。

でも、薪を大量に使えば森を切りすぎてしまう。だから、できるだけ早く成長する木を育てて、燃料として使えればいい。


「なるほど。よく燃えて、成長が早ければ木を切る必要が減るか」


「そそ!」


「ちゃんと考えてたんだな」


「失礼ね!」


私は苗木を一つ持ち上げる。


「まあ、まだ小さいけどね」


「何本あるの?」


「えーっと……」


数えてみる。


「二十本!」


「二十本か」


思っていたより多い。そして――


「種は……」


袋を確認する。


「一袋にかなり入ってるわね」


「ぽいね」


さとるも袋を覗き込む。


「これ全部植えるの?」


「いきなり全部は植えないわよ」


ユーカリがこの世界の環境に合うかどうかも分からない。まずは苗木を植えて様子を見る。

種のほうは、発芽するかどうかも確認してみたい。


「まずは試してみないとね」


「まあ、そうだな」


私は苗木を眺める。

竹も果樹も、最初は試しに植えた。

ユーカリも同じだ。


「早速、苗木はこっちに運び込むから、受け渡して!」


「はいよ!」


さとるから一つずつ苗木を受け取る。


「これ、二十本全部?」


「そう!」


「じゃあ、少しずつね」


袋の入口は相変わらず大きくない。

苗木をまとめて入れるわけにはいかない。

一本ずつ、慎重にこちらへ運び込んでいく。


「よいしょ……っと」


「姉さん、落とすなよ?」


「分かってるって!」


こうして、新しい植物――ユーカリが、この世界へやって来た。


「さて……」


苗木を並べ終えた私は、改めて二十本を見る。


「今度は、ちゃんと育ってくれるかな?」


竹や果樹の時と同じように、まずは試してみる。そして私は、苗木を一本手に取った。

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