竹にも「+神」?
「そういえば……」
私はふと、最初の頃に植えた竹のことを思い出した。果樹の世話をしている時に、あれだけ「+神」が付いていたのだ。
もしかしたら――
「竹もかな?」
私は竹を植えた場所へ向かった。
まだ植えてから、それほど時間は経っていない。竹林と呼べるほどの規模でもない。
「まあ、まだそんなに変わってないよね」
そう思いながら、一本の竹を鑑定してみる。
「鑑定!」
【竹】
【状態:良好】
【成長可能性:非常に高】
【+神】
「……やっぱり付いてる」
私は竹を見つめた。
「+神……」
果樹にも付いていた。
そして竹にも付いている。
「何なのよ、これ……」
嫌な予感がする。いや。
別に悪い表示ではない。
むしろ「成長可能性:非常に高」なんだから、良いことのようにも思える。
「でもなぁ……」
私は竹林の根元を眺める。
すると――
「……ん?」
何かが地面から顔を出している。
「え?」
しゃがんで確認する。
「……竹の子?」
地面から、ちょこんと小さな芽が出ていた。
「いやいや……」
私は思わず周囲を見渡す。
「もう竹の子が生えてるんだけど?」
植えたのは、ついこの間だ。
さすがに早すぎないだろうか。
「……たまたま?」
竹を植えた時期と、竹の子が出る時期が重なった。そう考えれば、おかしくはない。
「うん。たまたまよね」
私は自分に言い聞かせる。
そもそも竹は、植えてすぐに成長したわけじゃない。竹の地下茎を移植したのだから、そこから竹の子が出てきても不思議ではない。
……たぶん。
「でも……」
私はもう一度、竹を鑑定する。
【竹】
【状態:良好】
【成長可能性:非常に高】
【+神】
「……」
何だろう。やっぱり、何か引っかかる。
「早く成長するから、プラスになっているのか?」
果樹にも「+神」が付いていた。
そして、こちらの竹にも付いている。
もしかしたら、この世界で育つ植物を神様が何かしら調整しているのかもしれない。
「ん?」
私はそこで、ふと気づいた。
「プラス……?」
プラス。つまり、何かを足している?
「まさか……」
私は空を見上げた。
「いくら神でも、そんな……」
いや。
「……神だから出来るよな」
むしろ、神なら出来てもおかしくない。
成長を早める。枯れにくくする。
この世界の環境に適応しやすくする。
そういう都合の良い調整を、神様ならやっていても不思議ではない。
「……」
私はしばらく考える。
そして――
「都合の良い方にしてるのか……?」
そんな考えが頭に浮かんだ。
「……まあ」
私は竹の子を見つめる。
「まさかねー!」
考えすぎだ。神様がわざわざ私の持ち込んだ植物だけ、都合よく育つようにしているなんて。
そんなこと――
「……ないよね?」
私はもう一度、竹を鑑定する。
【竹】
【状態:良好】
【成長可能性:非常に高】
【+神】
「……」
やっぱりある。
「まあ、いいか」
今のところ、竹は元気に育っている。
それなら、ありがたく成長を見守ればいい。
「竹の製品を作れるようになるのは、早い方がいいしね」
私はそう言って、竹の子を眺める。
ただ――この「+神」が何を意味しているのか。それだけは、まだ分からなかった。




