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『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者: 稔


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他の苗木にも「+神」?

「うーむ……」


私は植えた果樹を眺めながら、もう一度鑑定してみることにした。

無花果だけが「+神」だった。

もしかしたら、何か特別な理由があるのかもしれない。


「じゃあ、他の苗木も見てみますか」


まずは柿。


「鑑定!」


【柿の苗木】

【状態:良好】

【成長可能性:高】

【+神】


「……」


私は無言になった。


「……え?」


もう一度。


【柿の苗木】

【状態:良好】

【成長可能性:高】

【+神】


「いやいやいや」


次は栗。


【栗の苗木】

【状態:良好】

【成長可能性:高】

【+神】


「……」


梅。


【梅の苗木】

【状態:良好】

【成長可能性:高】

【+神】


「また?」


柑橘。


【柑橘の苗木】

【状態:良好】

【成長可能性:高】

【+神】


胡桃。


【胡桃の苗木】

【状態:良好】

【成長可能性:高】

【+神】


「……全部じゃん」


私はその場で空を見上げた。


「何なのよ、これ……」


最初は無花果だけに何か起きたのかと思った。

でも、違った。植えた果樹が全部「+神」。


「何か嫌な予感というか……」


もしかして。


「……何か、やはりしたのかなぁ?」


ユーカリの件では、ミカミさんが「好きにしろ」と言っていた。


この世界の担当神も、もっとやってくれと言っていたらしい。


もしかしたら、私が持ち込んだ植物に何かしているのでは?


「……まあ」


私はもう一度苗木を見る。


「今のところ、悪い事は起きてないし」


むしろ、弱っていた苗木は回復している。

成長可能性も高い。


「余り気にしないでおこう!」


考えても分からないものは、考えない。

それが一番だ。


「苗木さん達にも頑張って貰って……と」


植えたばかりの苗木を眺める。まだ小さい。

実がなるのは、何年も先だ。


「まあ、数年先の話。こればかりはねー」


今日植えたからといって、明日には実がなるわけではない。毎日水をやって、状態を確認して、あとは成長を待つ。


「気長にいきますか」


そう言って、私は果樹園を後にした。

さて、果樹はしばらく待つ。

ユーカリも、苗木や種が届くまでは何もできない。


そして――


「お風呂計画は……」


村に作るとなると、薪の問題や鉄の問題がある。水の確保や設備だって必要になる。


「かなり先の話になるか……」


さすがに、明日完成というわけにはいかない。


「ならば!」


私はぐっと伸びをした。


「他の事を考えればいい!」


この村には、まだまだやることがある。

農業もある。商品の開発もある。

織り機だって、これからだ。


それに、地球から持ってこられる物だって、まだまだあるはず。


「うーん……」


私は小屋へ戻りながら考える。


「次は何をしようかな?」


お風呂を考えていた時とは違う意味で、頭の中が忙しくなってきた。


異世界生活は、まだまだやることが尽きそうにない。

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