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『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者: 稔


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鑑定に現れた「+神」

ユーカリについては、とりあえず植木屋さんに苗木と種を頼んでもらった。

届くまでは、しばらく待つしかない。

その間に、やっておかないといけない事もある。


「さて……」


私は果樹を植えた場所へ向かった。

植えてから、まだ数日。

さすがに、この短期間で目に見えて大きくなるような事はない。


「まあ、そうよね」


栗、柿、梅、柑橘、無花果、胡桃。


どれもまだ小さな苗木だ。


今は根がしっかり土につくまで、きちんと世話をしてやる必要がある。


「当面は水やりね」


幸い、手押し台車がある。


以前なら背負子で運んでいた水も、今では台車に乗せて運べる。


「これ、本当に楽ちんだわ」


一輪車を作ってもらって正解だった。

最初は苗木を運ぶために欲しかっただけなのに、今では水やりにも大活躍している。


私は台車から水を汲み、植えたばかりの苗木へ少しずつ水を与えていく。


「頑張って根付いてねー」


一通り水をやったところで、ふと思った。


「そうだ。苗木の状態も確認してみるか」


せっかく鑑定があるのだ。

植えた直後と比べて、どうなっているのか見ておいて損はない。


私は近くにある無花果の苗木へ手をかざした。


「鑑定!」


すると、いつもの表示が出てくる。


【無花果の苗木】

【状態:少し回復+神】

【成長可能性:高】


「……ん?」


私は表示をじっと見つめた。


「少し回復……は、分かる」


植えた時は少し弱っていた。


それが水やりをしたことで、少し回復したのだろう。


「でも……」


問題は、その後ろ。


【+神】


「……これ何?」


植えた時には、こんな表示はなかったはずだ。

少なくとも、最初に鑑定した時は――


【状態:やや弱っている】

【成長可能性:高】


だった。


「少し回復+神……?」


私は首を傾げる。


「プラス神って……どういう意味?」


まったく心当たりがない。

神と言えば、ミカミさん。

そして、この世界の担当神。


まさか……。


「いやいや。そんなわけないか」


ユーカリを持ち込んでいいか確認した時も、担当神が喜んでいたとか言っていた。

でも、だからといって果樹に何かする理由はない。


「そもそも、私が何かしたわけでもないし……」


私はもう一度、無花果の苗木を見る。

特に変わった様子はない。葉っぱも普通。

枯れているわけでもない。


「うーむ……」


もう一度鑑定してみる。


【無花果の苗木】

【状態:少し回復+神】

【成長可能性:高】


変わらない。


「うーん……」


何度見ても同じだった。


「まあ……今のところ元気ならいいか」


意味は分からない。

でも、悪い表示にも見えない。


むしろ「神」が付いているのだから、何か良い事なのかもしれない。


「……しばらく様子を見るしかないわね」


私は無花果の苗木をそっと眺める。


数年後には、ここに大きな木が並んでいるはずだ。その時、この「+神」が何を意味しているのかも分かるかもしれない。


「まあ、今は水やりと世話を続けよう」


そう言って、私は次の苗木へ向かった。

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