燃料問題に光が見えた?
「姉さん! 返信きたよ!」
「何だってー?」
私はパソコンの前から振り返る。
「ミカミさん、何て?」
「えーっと……」
さとるがメールを確認する。
「『好きにしろ! こっちからの物は持ち込んで良いって言っただろ?』だって」
「……」
なんともミカミさんらしい返事だ。
さらに続きがある。
「『それに、そっちの担当の神が喜んでたぞ! もっとやってくれって!』だってさ」
「……本当に良いのか?」
思わず呟く。
神様同士で話がついているなら、こちらとしてはありがたい。
でも、あまりにも簡単な返事だった。
「何の話よ? しかもユーカリって」
「え?」
さとるが聞き返す。
「あー。燃料よ」
私はパソコンの画面を見ながら説明する。
「ユーカリがどうやら二、三年でそこそこ大きくなって、燃料にもなりそうなの!」
「へぇ」
さとるも画面を覗き込む。
「あー。こっち、薪しか無さそうだしなぁ。それでか」
「そうなのよ」
薪は必要。
でも、森を薪のためにどんどん切ってしまったら、環境への影響が心配だ。
だから、燃料用の木を別に育てられればと思った。
「……あれ?」
さとるが何か思い出したように言う。
「でもユーカリって、毒素出さなかったけ?」
「そう!」
私は頷く。
「それを確認したかったんだけど」
だからこそ、ミカミさんに聞いてもらったのだ。
ユーカリを持ち込んでいいのか。
この世界で育てても問題ないのか。
周りの植物に影響が出ないのか。
いろいろ気になっていた。
ところが返事は――
『好きにしろ!』
「……まあ、ミカミさんがそう言うなら」
さとるが苦笑する。
「なら良いのでは?」
「そうね……」
少なくとも、持ち込みそのものについては問題ないらしい。あとは、この世界で実際に育ててみるしかない。
「いきなり大量に植えるんじゃなくて、まずは試してみればいいか」
「そうだな」
「ユーカリの苗木、植木屋さんに注文しておいて!」
「分かった」
「種も手に入ったら、そっちも!」
「苗木と種、両方?」
「そう!」
苗木なら、早く成長を確認できる。
種なら、こちらで増やせるか試せる。
「まずは少しずつね」
いきなり燃料用の木を大量に植えるのは怖い。
この世界でどう育つか。
他の植物にどんな影響があるのか。
ちゃんと確認しながら進めたほうがいい。
「じゃあ、植木屋さんに連絡してみるよ」
「お願い!」
さとるがパソコンへ向かう。
ちほはその様子を眺めながら、もう一度考える。
お風呂を作りたい。
そのためには大量の燃料が必要。
その燃料を確保するために、木を育てる。
「……お風呂一つで、随分大掛かりになってきたわね」
最初は、ただ温かいお湯に浸かりたかっただけなのに。
でも――
「上手くいけば、村の燃料問題そのものが少し楽になるかもしれない」
そう考えると、悪くない。
まずは試してみよう。
「ユーカリが、この世界でどう育つのか」
それを確かめるところからだ。




