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『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者: 稔


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村にもお風呂を!

うーむ……。

昨日、久しぶりに湯船に浸かってから、ずっと考えている。やっぱり、お風呂はいい。

身体の疲れも取れるし、汗や汚れも落とせる。


「……やっぱり、お風呂文化を広めたいな」


私だけが楽しむんじゃなくて、村の人たちにも味わってもらいたい。


となると――


「大衆浴場的な物でも作れないかな?」


ちほは、パソコンを開いて、ネットで検索しまくる。


「お風呂……昔のお風呂……」


いろいろな画像を眺めていく。

すると――


「据え風呂?」


昔の風呂の形を紹介しているものが出てきた。

大きな木の桶を使って、下から竈で熱するような作りらしい。


「これなら……」


私は画面を見ながら考える。

木桶は、もう作ってもらった。

だったら、これを大きくしてもらえばいい。

問題は、下からどうやってお湯を温めるか。


「木桶の下を、鉄とかにする感じかな?」


火が直接、当たらないようにして、熱を伝える。それなら、作れそうな気がする。


「湯船の底には簀を引けば……」


直接熱くなった部分に触れないようにできる。

もちろん、安全面はしっかり考えないといけないけど。


「うーむ……」


次に問題になるのは、水。


「水は……水車と組み合わせればいいか」


村には、すでに水車がある。

水を運ぶ仕組みを作って、浴場まで持ってくる。


「途中に濾過槽を付けて……」


水を一度濾過してから貯める。

そこから浴槽へ。


「……出来ない事はないか」


一つずつ考えていく。


湯船。水。水を運ぶ仕組み。濾過。

そして、湯を沸かす竈。


「後は……」


私は少し考える。


「燃料となる薪か」


これが問題だ。


お風呂で毎日大量のお湯を沸かすとなれば、それなりの薪が必要になる。


「その辺りを解決すれば……」


私は画面を見ながら呟く。


「出来そうね」


もちろん、まだ私の頭の中で考えただけ。

実際に作れるかは分からない。

でも、水車を作った村の職人たちなら、考えてくれるかもしれない。


「一度、相談してみよう」


私は検索結果を整理していく。分かりやすそうな画像を選ぶ。昔のお風呂の構造。木桶。竈。

水を入れる方法。


それぞれを印刷していく。


「これなら説明もしやすいかな」


何もないところから、


「大きなお風呂を作ってください!」


と言っても難しい。でも、こういう物がある。

こういう仕組みになっている。それを見せれば、村の人たちなら何か考えてくれるはず。


「よし」


印刷した紙をまとめる。


「これを見てもらおう!」


私一人で考えていても仕方がない。

実際に作るのは、村の人たちなのだから。


そして――


「これが上手くいけば、村のみんなもお風呂に入れる!」


そう思うと、なんだか楽しみになってきた。

昨日までは、自分が湯船に浸かれれば十分だと思っていた。


でも今は違う。


「みんなにも、あの『はぁぁぁ~~~』を味わってほしい!」


お風呂の気持ちよさを知った私には、もう止められなかった。


明日は村へ行こう。

そして、この案を相談してみよう。


「……薪の問題も、何か考えないとね」


こうして私は、村の新しい生活改善について考え始めた。


今度は――村人みんなのためのお風呂だ。

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