↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者: 稔


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
81/169

異世界で初めての湯船

ワクワクする。

今日は待ちに待った、お風呂の日だ。

木の湯船はもう設置してある。


あとは、お湯を入れるだけ。


私は湯船を眺めながら、鞄から伸びているホースを確認する。


「よし。準備はできてる」


地球側のさとるにもお願いしてある。

あとは――


「お湯、お願い!」


『はいはい』


返事が聞こえる。

すると、ホースから勢いよくお湯が流れ始めた。


「おお!」


湯船に少しずつお湯が溜まっていく。

湯気が立ち始める。


「……いいわね」


私は湯船のお湯を手で確認する。

温かい。ちゃんとお風呂に入れる温度だ。


「よし……!」


私は服を脱ぎ、恐る恐る足を入れる。


「……あったかい」


足先から温かさが伝わってくる。

そして、ゆっくりと身体を沈める。

肩まで浸かる。


「はぁぁぁ~~~……」


思わず声が漏れる。


「これよ……これ!」


温かいお湯に身体を包まれる。


三日間、苗木を植え続けたせいで痛かった身体が、一気に緩んでいくような気がする。


「んー……」


目を閉じる。


「やっぱお風呂よ!」


私はしみじみと思う。


「お風呂!」


タオルで身体を拭くだけの生活とは、全然違う。やっぱり日本人として、湯船は大事だ。


「最高……」


しばらく何も考えず、お湯に浸かる。

村のことも。果樹園のことも。竹のことも。

商品作りのことも。今だけは全部忘れる。


「……ふぅ」


ゆっくり息を吐く。


「幸せ」


これだけで、異世界に来て良かったと少し思えるくらいだ。


……いや。それは言い過ぎか。


「でも、本当に気持ちいい」


私は湯船の中で足を伸ばす。

木の香りもする。

地球から持ってきた普通のお風呂とは違う。

これは、この世界で作ってもらった湯船だ。


「なんか、贅沢ね」


そう思っていると、ふと村のことが頭に浮かぶ。


「……村にも大衆浴場とかあれば、みんなにも味わってもらえるんだけどなー」


村の人たちにも、この気持ちよさを知ってほしい。仕事の疲れを、お湯に浸かって癒す。

きっと喜ぶ人も多いだろう。


でも――


「流石に、無理だよな……」


大きな湯船。大量のお湯。それを沸かす設備。

水を運ぶ仕組み。排水も考えないといけない。


「……うん。無理そう」


今の村には、まだ難しい。

私は再び肩までお湯に浸かる。


「まあ、今は私だけでいいか」


まずは自分が楽しめれば、それでいい。


「はぁぁ……」


もう一度、身体の力を抜く。

今日くらいは、何も考えずにゆっくりしよう。


……そう思っていた。けれど。


「大衆浴場……かぁ」


一度思いついてしまった考えは、なかなか頭から離れなかった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。