鑑定、大活躍!
だぁ……。
やっと、こっちに運び込むことができた……。
「しかし、多くない?」
昨日一日。さとるから少しずつ苗木を受け取り、そのたびに小屋の外へ運び出していた。
一本。また一本。そしてまた一本。
最初は、
「まあ、これくらいなら」
と思っていた。でも、終わってみれば――
「何十本よ……」
小屋の中には置けないから、全部外へ。
それだけでもかなり時間が掛かってしまった。
「植えたりするのは、明日からだな」
さすがに今日はもう無理。
苗木を植える場所も決めてある。
あとは、順番に植えていくだけだ。
私は苗木を眺めながら、小屋へ戻った。
◇
そして、次の日の朝。
「さて……」
いよいよ植える。
その前に――
「まずは、種類ごとに分けないとね」
昨日運び込んだ苗木を眺める。
柑橘。柿。無花果。
その他にも、まだいろいろある。
植木屋さんが見繕ってくれたものだから、種類は分かっているはずなのだが――
「てか……」
私は苗木を一本持ち上げる。
「似たような葉の物は、何がなんだか分からないわね」
苗木だから、まだ小さい。
実がなっているわけでもない。
葉っぱを見ても、私には違いがよく分からない。
「これは……柿?」
隣を見る。
「こっちは……なんだろう?」
さらに隣。
「……分からん」
困った。せっかく種類ごとに分けようとしているのに、これでは全然進まない。
「そうだ」
私は思い出した。こういう時には――
「鑑定!」
目の前の苗木を見る。
すると、いつもの表示が出た。
【無花果の苗木】
【状態:やや弱っている】
【成長可能性:高】
「うおー!」
私は思わず声を上げた。
「便利!」
そうだった。鑑定があるじゃない。
何で今まで忘れていたのかしら。
「これなら簡単じゃない!」
苗木を一本ずつ確認していく。
「無花果!」
こちら。
「柿!」
こちら。
「柑橘!」
こちら。
どんどん分けていく。
しかも、種類だけじゃない。
「状態も分かるのね」
弱っている苗木。比較的元気な苗木。
中には、
【状態:かなり弱っている】
なんて表示されるものもある。
「これはちょっと心配ね」
でも、その下を見る。
【成長可能性:中】
「育つ可能性はある」
だったら、植えてみる価値はある。
逆に――
「おお!」
【状態:普通】
【成長可能性:高】
「これは期待できそう!」
私は苗木を種類ごとに並べていく。
「鑑定、こういう時にも使えるのね」
今までは、商品の価値を見るために使うことが多かった。
でも、植物の種類や状態まで分かる。
これはかなり便利だ。
「これなら、仕分けも楽々!」
一本。また一本。苗木を確認していく。
すると――
「……結構、種類あるわね」
改めて数えてみると、植木屋さんが思った以上にいろいろな苗木を入れてくれていた。
売り物にならない。
だから処分する予定だった苗木。
それが今は――異世界の新しい果樹園候補だ。
「ありがたいわね」
私は苗木を眺める。状態が悪いものもある。
でも、成長可能性があるなら、試してみればいい。
「さて!」
種類ごとの仕分けも、だいぶ進んできた。
「次は、どこに何を植えるかね」
苗木を並べた場所を見る。
「……うん」
思ったより、本当に果樹園っぽくなりそう。
まだ全部、小さな苗木だけど。
「まずは、ちゃんと植えてあげないとね」
私はスコップを手に取った。
今日から――本格的な植樹開始だ。




