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『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者: 稔


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紡ぎ機の次は、織り機です!

村長さんのところへ、私は小さな織り機を持ってやってきた。


「村長さん、いますかー?」


「おや、ちほさんか。今日は何を持ってきたんじゃ?」


「これです!」


鞄から織り機を取り出す。


「ほぅ。今度はなんじゃ?」


「紡ぎ機が完成した後に使う、織り機の模型です」


「織り機……」


村長さんは興味深そうに、手に取って眺める。


「これは、現物があるんじゃなぁ」


「はい!」


「前に貰った資料だけではなく、今回は実物まであるのか」


「実物と言っても、かなり小さいですけどね」


私は苦笑する。

本当におもちゃみたいなサイズだ。

でも、仕組みを確認するには十分だと思う。


「これなら、紡ぎ機が完成する前に織り機も作り始めるか!」


「はい! 是非!」


「糸を作った後に、その糸を使って布を作る……ということじゃな?」


「そうです!」


村長さんは、織り機を眺めながら頷く。


「なるほどのぅ」


「この小さい物を参考にして、大きな物を作ってもらえればと思ってます」


「ふむ……」


村長さんはしばらく織り機を動かしてみる。


糸を張る部分。横糸を通す部分。

それぞれを確認しているようだ。


「これは……職人に見せた方が早そうじゃな」


「ですよね」


私が作れるわけではない。

でも、実物を見れば職人さんたちなら何か分かるかもしれない。


「ちほさんが持ってくる物じゃ」


村長さんが笑う。


「これも上手くいくだろ」


「よろしくお願いします!」


「ふぉふぉふぉ」


村長さんは楽しそうに笑った。


「また一つ、村で作る物が増えたのぅ」


「そうですね!」


水車。農具。紡ぎ機。そして、織り機。


最初は村を少し便利にできればと思っていただけだったのに。

気が付けば、いろんな物が村で作られ始めている。


「でも、これが完成したら……」


私は小さな織り機を見る。


「糸から布が作れるようになるんですよね」


「そうじゃな」


「そうしたら、布を使って何か作れるようになるかも」


「服なども作れるじゃろうな」


「おお!」


服。


その言葉を聞いて、私はちょっとワクワクしてきた。


「そうなると、今度は服作りも……」


「ちほさん」


「はい?」


「気が早いぞい」


「あっ」


思わず笑ってしまう。


「そうですね。まずは織り機ですね」


「そうじゃ」


「それから布」


「そうじゃな」


「その後に服」


「……まあ、順番にじゃな」


「はい!」


まだまだ先は長い。

でも、こうやって一つずつ進んでいくのが楽しい。


私は村長さんに頭を下げる。


「よろしくお願いします!」


「任せておきなさい」


村長さんは小さな織り機を手に持って、もう一度眺める。


「さて、職人たちに見せてくるかのぅ」


「お願いします!」


「ふぉふぉふぉ」


こうして、紡ぎ機が完成する前から――村では次の道具、織り機の製作が始まることになった。


そして私は、次に必要になりそうな物を考えながら、村長さんのところを後にした。

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