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『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者: 稔


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小さな織り機が届きました

「お姉ちゃん! なんか荷物届いたよ!」


「はーい!」


弟のさとるの声が聞こえて、私は家の方へ向かう。昨日注文したばかりだけど、もう届いたらしい。


「これこれ!」


さとるが段ボールを持っている。


「織り機だね」


「そうそう!」


私は段ボールを開ける。

中から出てきたのは――。


「ちっちゃ!」


思っていた以上に小さい。

本当におもちゃみたいなサイズだ。


「これ、ちゃんと織れるの?」


「たぶん?」


「たぶんなんだ……」


「いや、私も実物を見るのは初めてだから」


とりあえず、サイズを確認する。

これなら……。


「鞄に入りそう?」


「小さいから……」


私は鞄の口を開ける。

織り機を持ってきて――。


「……行けたね!」


すっぽり入った。


「おお!」


さとるも覗き込む。


「何これ? 織り機?」


「そうそう!」


私は織り機を取り出して、さとるに見せる。


「紡ぎ機を作ってもらってるでしょ?」


「うん」


「その次は、糸を布にしないといけないからね」


「なるほどね!」


「実物があった方が分かりやすいから、これを持って行くの」


「確かに。写真とか説明書だけより、実際に動かせる物があった方がいいか」


「そういうこと!」


水車の時もそうだった。


最初は模型を見せたことで、村の人たちが仕組みを理解できた。


今回も同じ。

この小さな織り機を見てもらって、どういう構造なのかを確認してもらえばいい。


「まあ、これをそのまま使うんじゃなくて……」


私は織り機を眺める。


「これを参考に、もっと大きな物を作ってもらえればいいかな」


「なるほど」


「村の職人さんなら、たぶん何とかしてくれるでしょ」


「また他力本願だな」


「違いますー。適材適所ですー」


「はいはい」


失礼な。

私はアイデアを持っていく。

作るのは職人さん。それでいいのだ。


「それじゃあ……」


私は織り機を鞄に入れる。


「織り機が届きました!」


これで準備は完了。


「じゃあ早速、村へ行きますか!」


「気を付けてねー」


「はーい!」


私は鞄を持って、村へ向かう。

紡ぎ機で糸を作る。

その糸を、織り機で布にする。


まだまだ先は長い。

でも――。


「少しずつ、進んでるなぁ」


私はそんなことを考えながら、村へ向かって歩いていった。

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