次は布を作ってみよう
水車小屋の輸出計画は、隣村から職人さんたちが帰ってきてから話を聞くことにした。
ちゃんと完成したのか。向こうの村では、どういう反応だったのか。実際に使ってみて問題はなかったのか。
その辺を確認してから、次を考えればいい。
「それまでは……」
村に残っている職人さんたちには、お願いしていることがある。
「この世界初の改良型農具ね」
私がネットで調べて、資料を渡した農具。
唐箕。手押し除草機。万石。千歯。
すでに村にある物を参考にしながら、さらに便利な物へ改良してもらっている。
「水車もそうだったけど、こっちの人たちに任せた方が早いわね」
私ができるのは、知識を持ってくること。
実際に作るのは、職人さんたち。
「さて……」
私は村の中を見渡す。
「他には何かあるかしら?」
水車。農具。それ以外。
何か村の人たちが作って、売れそうな物。
「……」
しばらく考える。
「女性陣には……」
革製のキーホルダー。これは地球でも売れた。
なら――
「布製の物とか?」
革だけじゃない。布を使った小物。
袋。巾着。簡単なポーチ。
そういえば、動画で簡易的な作り方を見たことがある。
「布って、どうやって作ってるんだろ?」
私はふと疑問に思った。
完成した布しか見ていない。
でも、その前には原料がある。
「そこから調べないと駄目か」
まずは、女性たちに聞いてみよう。
「今使っている布は、どこから仕入れているのか」
商人から買っているのか。
それとも村で作っているのか。
「布は、商人から売ってもらうぐらいかなぁ」
もしそうなら――
「なるほど……」
私は考える。
「……」
でも。布そのものを作るための原料がなければ?
「無理か」
革なら、この村で手に入る。
でも布は?綿?麻?羊毛?
「麻布なら……」
私は少し考える。
「作れるかな?」
この辺りで麻が育つなら、原料から作れる可能性はある。
糸にする。それを織る。そして布にする。
「……」
もちろん、そんな簡単じゃない。
でも――
「まずは知らないと」
私は小屋へ戻ることにした。
「もう一度、動画を見てみるか」
布がどうやって作られているのか。
麻から糸を作るにはどうするのか。
昔の人は、どんな道具を使っていたのか。
「そこから調べてみよう」
水車だって、最初は模型だった。
農具だって、ネットで見つけた資料から始まった。
なら――
「布も、何かきっかけを作れるかもしれない」
私は小屋へ戻り、ノートパソコンを開く。
「さて……」
検索欄に文字を打ち込む。
『昔の麻布 作り方』
そして――異世界の村に、次の産業の種を探し始めた。




