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『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者:


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次は農具を紹介してみよう

「んー……」


私はノートパソコンの画面を眺めながら、腕を組んでいた。


水車が完成してから、また色々と調べてみた。

農業。食料保存。道具。昔の生活。

色々出てくる。


「……」


でも、やっぱり――


「農業機具かな?」


村の生活を見ていると、農業がかなり重要だ。

畑も広い。水車小屋もできた。

なら、次も農業関係がいいだろう。


「小麦……いや、大麦かしら?」


村では麦を育てている。

それに――


「米もあったし」


日本の昔の農村で使われていた農具なら、この世界でも役に立つかもしれない。


「鍬は、もうあるみたいだし……」


だったら、その先。


「唐箕!」


風を利用して、籾殻やゴミを選別する道具。


「手押し除草機!」


雑草を取る道具。


「万石!」


穀物の選別に使える。


「千歯!」


脱穀に使う道具。


「……」


もちろん、似たような道具がすでにあるかもしれない。


でも――


「あるかどうかは、聞いてみればいいか」


私はそれぞれの農具について、簡単な説明と絵を印刷する。

実物を持っていくのは無理でも、図があれば話はできる。


「よし」


紙をまとめる。


「村長さんに持っていってみるか!」



「ほぅ……」


村長さんは、私が持ってきた紙を一枚ずつ眺めている。


「これも農具なのか?」


「はい」


私は説明を続ける。


「これは唐箕といって、風を使って穀物と籾殻などを分けます」


「なるほど」


次の紙。


「これは手押し除草機です。畑の雑草を取るのに使います」


「ほう」


そして――


「こちらは万石」


「これは?」


「穀物を選別するための道具です」


最後に千歯。


「これは脱穀に使います」


村長さんは、一枚一枚をじっくり眺めていく。


「……」


そして、腕を組んだ。


「今も似たような農具はある」


「そうなんですか?」


「ああ」


やっぱり。

この世界にも、農業技術はちゃんとある。


「ただ――」


村長さんが紙を指差す。


「この描かれている農具の方が、便利そうだ」


「本当ですか?」


「ああ」


「よかった!」


思わず声が出る。


すでに似た物があるなら無駄かと思ったけど、改良の余地はあるらしい。


「これなら、作業も楽になるかもしれん」


「はい!」


私は頷く。


「ぜひ作ってみてください!」


「……」


村長さんが顔を上げる。


「これも……貰っていいのか?」


「はい!」


私は印刷した紙を差し出す。


「作るための参考にしてください」


「また、ええのか?」


「もちろんです!」


水車の時と同じだ。

私が作るわけじゃない。

作るのは、この村の人たち。


だからこそ――


「是非、試してみてください」


「……」


村長さんは紙を受け取る。


「すまんのう」


「いえいえ」


私は笑う。


「役に立つなら、それで十分です」


村長さんはもう一度、紙に目を落とした。


「これがあれば……」


小さく呟く。


「農作業も、少し変わるかもしれんな」


「……」


私はその言葉を聞いて、嬉しくなる。

水車に続いて、今度は農具。

一つ一つは小さな変化かもしれない。


でも――こうやって少しずつ便利になっていけば。


「この村、もっと暮らしやすくなるかも」


そんな未来が、少しずつ見えてきた。

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