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『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者: 稔


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砂糖!?

「甜菜も、手に入る予定なんです」


「テン……サイ?」


「あ、砂糖を作るための作物です」


「砂糖だと?」


村人たちの反応が変わった。


「砂糖が作れるのか?」


「まだ分かりません!」


ちほは慌てて付け加えた。


「まずは育つかどうかを確認しないといけませんし、砂糖を取り出す方法も考えないといけません」


「なるほど……」


「それに、今植えた果樹が実をつけるのも、まだまだ先です」


ちほは果樹園を見渡した。


「だから、早いうちから考えておきたいんです。砂糖が作れるようになれば、果物を煮詰めてジャムにすることもできますから!」


「ジャム?」


「果物を甘く煮詰めた保存食です!」


「ほう……」


村人たちは興味を示したが、すぐに一人が頷いた。


「まあ、砂糖はまだ先の話だな」


「そうですね」


ちほも笑った。


「まずは、今できることから始めましょう!」


干せる果物は干す。梅は塩を使って漬ける。

砂糖が手に入ったら、ジャム作りにも挑戦する。

果樹を育てるだけでなく、収穫した果物を無駄にしないための準備も必要だ。


「……うん」


ちほは満足そうに頷いた。

果樹園は、ちゃんと前に進んでいる。

村人たちは自分たちで苗木を増やし、成長を記録し、保存方法まで考え始めた。


「これなら、私が全部考えなくても大丈夫そうね」


ちほは、元気に育つ苗木をもう一度眺めた。


「……ただし、森になるのは勘弁してね?」


もちろん、苗木から返事はない。


「よし! じゃあ、干し果物の準備についても資料をまとめてきますね!」


「頼むぞ、ちほさん!」


ちほは果樹園を後にした。


村の新しい産業は、竹製品やユーカリ製品だけではない。

やがて実る果物も、村の大切な資源になるはずだった。

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