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『異世界に行ったら、鞄の中が実家の商店でした』  作者: 稔


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竹を乾かしてみよう!

「さて……」


間引きした竹が、竹林の一角に積み上げられている。かなりの量だ。

ちほは、その竹を眺めながら考えていた。


「これ……どうやって乾かそう?」


切ったばかりの竹は、そのまま製品にするわけにはいかない。

まずは保管して、しっかり乾かす必要がある。


「雨に濡れない場所がいいな」


近くにいた村人が竹を見ながら言う。


「そうだな」


別の村人も頷く。


「風通しも必要だ」


「確かに」


「湿ったままだと、傷みやすいだろうしな」


村人たちは竹を置く場所を見回す。


「なら、屋根だけ作った簡単な小屋にするか?」


「屋根だけ?」


ちほが振り返る。


「ああ。壁まで作らなくてもいいだろ」


「なるほど」


「雨さえ防げれば、風は通した方がいい」


「それなら材料も少なくて済むな」


「うん。それがいいと思います!」


話が決まった。

ただ――。


「でも、小屋を作る材料はどうする?」


「木を使うか?」


「……」


ちほは竹林を見る。

そして、ふと思いついた。


「竹で作ればいいんじゃない?」


「竹で?」


「はい」


ちほは、資料と地球の記憶を思い出す。

竹を組んで作った簡単な小屋。


「こんな感じです」


ちほは持ってきた資料を広げる。

そこに載っているのは、簡易的な竹の小屋だった。柱や骨組みを竹で組んでいる。

そして屋根も竹。竹を半分に割り、雨水が流れるように並べてある。


「ほう……」


「これなら、今ある竹でも作れそうだな」


「屋根も竹か」


「半分に割って、こうして並べるのか」


村人たちが資料を覗き込む。


「そうです」


「本当なら、この竹も乾かしてから使った方がいいんだろうが……」


一人の村人が竹を持ち上げる。


「今回は仮建物だ」


「なるほど」


「材料もたくさん出そうだし……」


村人は竹林を見る。


「作ってみるか」


「賛成だ」


「俺も手伝う」


「じゃあ、まずは太い竹を選ぼう」


「柱にするなら、こっちだな」


あっという間に話が進んでいく。


「じゃあ、私は……」


ちほは、資料を見ながら考える。


「竹を割るところは、私も見ておこうかな」


「そうだな。危ないから、ちほさんは見てるだけでいい」


「はい……では、お願いします!」


村人たちは竹を運び始める。


「まずは柱だな」


「この竹を使おう」


「横に渡す竹は、もう少し細くてもいいだろ」


竹を組み合わせていく。

木の小屋とは違い、竹は軽い。それでも、しっかり組み合わせれば骨組みになる。


「ここを縄で固定する」


「おう」


「もう少し角度をつけた方がいいな」


「屋根を作るからな」


少しずつ形ができていく。


「次は屋根だ」


竹を半分に割る。


「こうして……」


割った竹を並べていく。竹の内側を上向きにしたものと、外側を上向きにしたものを組み合わせるように並べる。


「これなら水が流れそうだ」


「雨が降っても中には入りにくそうだな」


「よし」


最後の竹を固定する。


「できた!」


簡素な竹の小屋。壁はほとんどないが、屋根はあるので、風も通る。


「竹の仮置き場としては、十分じゃない?」


ちほが中を覗く。


「これなら、切った竹をここに並べて乾かせそうですね」


「そうだな」


「しばらく使ってみよう」


「雨が降った時の様子も見たいな」


「問題があれば、その時に直せばいい」


ちほは竹の小屋を見上げた。


「……うん」


これで、竹を保管する場所ができた。

そして――。


「こうして実際に触ってみると、竹のことも少しずつ分かってきますね」


ちほが呟く。最初は、竹が高級品だということすら知らなかった。

それが今では、どの竹を切るか。どう保管するか。どう乾かすか。どう加工するか。

少しずつ村人たち自身が考え始めている。


「これからもっと竹を扱うなら、みんなが竹の特性を知っていった方がいいよね」


ちほは、完成した仮置き場を見る。


「まずは使ってみる」


「失敗したら直す」


「そうやって覚えていけばいい」


竹林の中に、最初の竹製建物ができた。

そして、その中には大量の竹が並べられていく。


「さて……」


ちほは腕を伸ばす。


「竹が乾くまで、次は何をしようかな?」


竹製品作りは、まだ始まったばかりだった。

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