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第277話 子供の喧嘩に出てくる男

 YouTube を聴いていると、ある評論家がこんな事を言っていた。

「中学校の合奏コンクールに何の意味があるんですか!」


 合奏じゃなくて合唱だったのかもしれない。

 が、どっちでも同じことだ。


 クラス対抗のコンクール、オレは意味があると思う。


 別に合奏の上手うま下手へたに意味があるんじゃない。

 皆で力を合わせて1つの事を成し遂げようとする、そのプロセスに意味があるのだ。

 朝早くから練習したり、放課後に残って練習したり。


 中には練習中にふざける奴もいて、指揮者の女の子が泣き出す事もある。

 山あり谷ありでようやく本番を迎えるわけだ。

 まるで社会の縮図そのものじゃないか。


 オレの通っていた公立中学でもクラス対抗合奏コンクールが行われた。

 父兄も招かれての本番、さすがのオレたちにもプレッシャーがかかる。


 そんな緊張の中、何とか演奏を終えて席に戻った。

 後につづく演奏を聴きながらオレは天井を眺めてボーッとしていた。


 ふと気づくと、いつの間にか会場の空気が変わっている。

 前をみると指揮をしているのは音羽おとわだった。

 小学校のクラスが一緒だったのでよく知っている。


 なんでコイツが指揮なんかやってんだ。

 と……圧倒された!

 その演奏に。


 全身で指揮をする音羽おとわひきいられたクラスは自信にあふれた演奏をしている。

 聴いているもの全員がひきつけられていた。

 生徒たちも、先生たちも、そして招かれたお母さんたちも。


 音羽おとわの指揮が終わった瞬間、会場には割れんばかりの拍手が響いた。

 なんだ、これは!

 まるで子供の喧嘩に出て来た大人じゃないか。


 音羽の技術は傑出していた。


 それだけじゃない。

 クラス一丸となって練習を重ねてきたのだろう。

 自信満々の演奏は聴いていてむしろ気持ち良かった。


 ヤル気のない中学坊主たちをここまで引っ張ってきたのだ。

 音楽に対する音羽の熱意は本物だった。


 後にボストンのバークリー音楽大学に進んだ音羽の、これが初陣デビューだった。


 その瞬間に立ち会うことのできたオレたちはしあわものだと思う。


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