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第56話 ハンディキャップを利用する男

 オレは若手医師の研修会の募集窓口を担当していた。


 今回のは「英語論文の書き方」という研修会で毎年大勢の応募がある。

 そのため、応募に際して各自の意気込みを400字程度で書くように、という条件があった。

 研修会主催者が受講者を選ぶ基準にするためだ。



 当院から応募したのは膠原病内科のハン先生。

 400字で意気込みを書いたので、提出する前にチェックしてくれませんか、と彼に頼まれた。


 ハン先生の書いたものは「今回の研修を生かして多くの英語論文を執筆し、我が国の医療に貢献したいと思う」と締めくくられていた。


 内容としてはまあそんなもんだろう。

 でも、1ヵ所ひっかかったので彼に電話した。


「作文を見たよ。なかなかよくできている。ところでハン先生は名前からすると在日だな」

「ええ、国籍は韓国になります」

「そうすると先生のいう我が国というのは韓国になるわけ、それとも日本?」

「もちろん日本です」

「そしたらここは『我が国のために』というより『日本のために』と書いておこうよ」

「確かにその方が明確になりますね」


 オレの言いたいのはそういうことではなかった。


「ここの部分を『日本のために』と書いておいたら『偉い、ハン君は在日韓国人なのに日本のために頑張ってくれるのか! じゃあ100点満点のところ120点あげておこう』と審査員が喜ぶんじゃないかな」

「あはは、そうかもしれませんね」


 明るく素直な青年だ。


「先生も今までの人生で色んな事があったと思うけど、ハンディキャップは克服するより利用してやろうぜ」

「分かりました、そうします!」


 ヤル気満々のハン先生には、ぜひ受かってもらいたいものだと思う。



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