↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
李斯転生 勝ち確?それとも絶対の無理ゲー?  作者: 杠煬
第3章 乱の兆し

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/36

28 やんごとなき身分

お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。


さらさらと水の流れる音に混じって、女官の嗚咽が静かに響く。

いや困った、こういう時はどんな言葉をかければ良いのだろう?



「取り敢えず、この子は何処(どこ)かへ匿(かくま)った方が良いかもしれませんね」

「確かに。口封じに消される可能性もあるわけだし、そうするしかないか.......だが匿(かくま)うといっても一体何処(どこ)へ......って、え??」



それは既視感(デジャヴ)、故服を着たオタサー姫が俺のすぐ横に立っている。

いつの間に??......いやいや、てかナンデ???



「一緒にお話を聞いていなければ、危うく通古様のことを誤解(・・)するところでしたわ」



ニコリともせず、姫は静かにそう呟(つぶや)いた。



.......

.....

...



泣いていた女官は、突然の姫の声にビクッと顔を上げ、まじまじと姫の顔を見る。

と次の瞬間、彼女はワナワナと震え出し、今度こそ服が汚れるのも構わずにその場に平伏した。



「ひぃっ!!ひ、ひ、ひ、姫様っ!!!!こ、これはとんだご無礼をっ!!!!」



姫の突然の出現(?)に俺も大概(たいがい)驚いたのだが、それ以上に女官のビビる様(さま)は尋常じゃあ無かった。

彼女も貴族階級の娘の筈だから、姫が何処(どこ)の何方(どなた)なのかを知っているのだろうが、それにしては怯(おび)え過ぎじゃないか??

もしくは、それだけ「やんごとない」身分のお姫様ってことなのか??



「な、何を仰(おっしゃ)って......こ、このお方(かた)のことをご存じないのですかっ??」

「いや、知り合いではあるのだが、詳しいことは......」

「そんな......こ、こ、このお方(かた)はっ!」

「およしなさい!それ以上はいけないわ」

「は、はいぃっ!!」



焦(あせ)りまくる女官が色々と話してくれそうだったのだが、それを姫がぴしゃりと遮(さえぎ)る。



「それよりも通古様、この子をこのまま雍へ行かせるわけにはいきませんわ」

「そうですね。取り敢えず村長に頼んで、この村に匿(かくま)ってもらいましょう。雍からの帰りに合流して、一先(ひとま)ずは彼女の実家に送り届けるということで如何(いかが)でしょうか?」



当面の措置としては妥当だと思ったのだが、何故か考え込む姫。



「うーん、でも......あの通古様、ちょっとこちらへ」

「え?な、何でしょうか?」

「いいですから、こちらへ」



袖(そで)をつかまれる。

平伏したまま顔だけを上げて不安そうに俺達を見上げる女官に背を向け、姫と二人でコソコソと話をする。

あ、なんか良い匂いがする......って、おいっ!!(←セルフつっこみ)

このままだと未来の俺、不敬罪が理由で腰斬(バッドエンド)になるんじゃなかろうか(汗)



.......

.....

...



「通古様、この子を実家に返すのは確かに安全かもしれません。ですが彼女の家が、女官を辞したとか出戻ったなどという風聞が立つことを恐れて、彼女を見捨てる可能性がございます」

「そんなまさか......いやでも、有り得ますね」



この時代、まだまだ人の命の価値は軽く、その値段は安い。

そしてなまじ上流階級ともなれば、個人よりも家の名誉が優先されることが多いからな。



「それに一時的にならまだしも、このままずっとこの村で住まわせるのもどうかと」

「そうですね。この村の皆は人畜無害な善人ばかりですが、女性が一人で過ごすには不安でしょう。しかも今は『男』というものに対して恐怖を感じているでしょうし」

「あら、お優(やさ)しいのね」



うーむ、こうなれば仕方無い。

乗りかかった船ってやつだ。



「では私の屋敷で匿(かくま)いましょう。なに、気ままな独り身です。使用人は何名かおりますが、それで気兼ねすることも無いでしょうし」

「.........は?」



あれ?

なんか今、姫がムッとしたような気が.....



「通古様はお優しい方(かた)ですけど、女の気持ちというものをもう少しお考えになった方が良いですわ」

「えーと、それはどういう.....」

「女を一人で態々(わざわざ)独り身の殿方のお屋敷へ住まわせるなど、一体何をお考えなのです?この子は、私の屋敷(いえ)へ連れていきますから!」



ああ成程(なるほど)、そういうことか。

どうも俺はデリカシーが無くていけないな。



「助かります姫様」

「ふん!」



どうやら怒らせてしまったようだ。



.......

.....

...



「それで通古様、この後はどうなさるおつもり?」



まだ声に少し険はあるが、努めて落ち着いた声で姫が尋ねてくる。

そうそう、今後のことを考えておかないと。



「まずは雍まで太后殿下を無事にお送りしなければ。全てはそれからです。殿下のお身の安全がやはり第一なので」

「まあそうですわね」

「女官が一人、行方不明になったということでほ(・)と(・)ぼ(・)り(・)が冷めるのを待つしか無いかと」



正直、解決策が思い付いていないというのもあるのだが、仕事の優先順位を間違えてはいけない。



「でもまた、他の女官が長信侯の毒牙にかかったら......」

「それについては、まあ大丈夫でしょう。雍への行幸(みゆき)の間に、長信侯(ヤツ)には『お前が宦官で無いことをバラされたくなければ大人しくしておけ』と恫喝しておきます。極めてやんわり(・・・・)とね」

「あら通古様ったら、怖(こわ)いこと。でもいずれは」

「ええ、報いを受けさせる日が来るでしょうね」



咸陽に戻ったら、取り敢えず呂不韋(じょうし)にでもチクるかな........

なんて考えながらしゃべっていたせいで、俺は不用意にも超特大の爆弾発言をしてしまった。



「それと当面は、太后殿下がご懐妊されていることも内緒にしておきませんと」

「........え?」

「あ!!........い、いやその........あの........」



ヤバい!

ヤバい!!ヤバい!!!



「つ、通古様っ!い、今、なんと仰(おっしゃ)いました?????」



気に入って頂けましたら、ご評価、ブクマ登録など頂けますと大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。