↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
李斯転生 勝ち確?それとも絶対の無理ゲー?  作者: 杠煬
第3章 乱の兆し

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/36

24 太后宮の支配者

お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。


【嫪毐視点】



うつ伏せになった年増女の白い背中が、落ち着き始めた呼吸に合わせてゆっくりと上下している。



昔は(・・)美人だったのだろうと思わせる顔の造作と、奢侈のせいでたるみ(・・・)始めた体。

はっきり言って食指が動くなんてことは無い筈なんだが、それでも強大な秦という国の国母を抱いているのだと思えば妙な興奮はあり、結構楽しんでもいる。



頭の軽い成り上がりの「お偉いさん」に有りがちな人を見下す目。

それが俺に組み伏せられて屈服し、涙に濡れる様(さま)はなかなかに格別なんだぜ。



ぐったりしたままの太后(おんな)を邪険に押しやると、俺は寝台を出て服を身に付け、一人の牡(オス)から従順な宦官の姿へと化ける。

だらしなく寝そべったままの彼女をそのままに、とっとと汗臭い部屋を出る。



「ようやく、俺の人生も上向いてきたな」



体のだるさとは裏腹の爽快な気分で、誰にともなくそう呟(つぶや)いていた。



......

.....

...



燕においてはわりと裕福な家の跡取りに生まれた俺は、博打でその身代を傾けた。



真面目に土を耕すのは性に合わなかったし、どのみち一生食っていけるだけの財産はあった筈だった。

それを一晩で溶かしてしまったのは、イカサマに気付けなかった自分にも非がある。

だがその落とし前を付けるためにと、相手を殺ってしまったのは失敗だった。



いかにそいつが下衆な三下だったとしても、身内を殺られ面子(メンツ)を潰されたままでは、侠の看板を降ろさなくちゃならなくなる。

つまりは命を狙われるわけだ。



だからと言ってお上(かみ)へ訴えようにも、侠の社会は国の中枢部とがっちり癒着してやがるから、下手すりゃ役人からも追われることになる。



なので逃げた。

西の果ての、遠い遠いこの秦にまで。

法による治安の行き届いた秦(このくに)では、侠の世界に生きる者が大手を振ってお天道(てんと)さんの下を歩くことなんざ出来やしないからだ。



だが逆に言えばこの国は、何処へ行っても法、法、法。

いつでも法が付いてまわる。

法が付きまとってきやがる。



正直、息がつまってもいたんだ。



......

.....

...



食い物もそうだが、女には特に不自由していた。



秦(このくに)へ来る途中のように他の国であれば、野良仕事をしているちょいと良い女を茂みの中へ引っ張りこみ、力ずくで言うことを利(き)かせれば良かった。

使い捨てれば良かった。



だが秦へ着いた途端、そういった無法な真似は全く出来なくなった。



そんなことをすれば、たちまちお縄だ。

仕方なく色街へ行くも、金が無ければ店の敷居すら跨(また)げず、物乞い同然で得たはした金(・・・・)で何とか場末の店へと上がり込んだ。



潮目が変わったのはその時だ。



俺の自慢の性器(むすこ)は、馬車の巨大な車輪を通して振り回せるほどに固く、長く、そしてデカい。

そんな性器(おれ)を見て悲鳴を上げた商売女(おんな)が、大事な商売道具を壊されぬようにと、仕事を放棄する代わりに幾ばくかの賄賂(かね)を包んできた。



金を払うつもりが、金を貰って敬遠される始末。

でもまあ、これはこれで良い。

味を占めた俺はそうやって食い扶持を稼ぎつつ、女を抱けない日々を悶々と過ごしていた。



そしてある日のこと、巨根(おれ)の噂を聞き付けた趙高の使者がやって来た。



.......

.....

...



燕でやらかす前から自分でも分かっていたことではあるが、俺は誰かに命令されるのが、どうにも気に食わない性分らしい。

だから後先考えずに賭場でイカサマをした野郎を殺(ぶちのめ)したのだし、そのことに後悔などは微塵もしていない。



俺をここへ連れてきた趙高という玉無し(かんがん)についても、上から目線であれこれ言われるのはいずれ我慢出来なくなるだろうとは思っていた。



そんな俺の滲(にじ)み出る不満と暴力の臭いを感じ取ったのだろう。

先日秦王(おんなのガキ)がここ太后宮に機嫌伺(きげんうかが)いにやって来た際、趙高(ヤツ)は秦王(ガキ)の方に取り入ってそのまま後宮(ガキのいえ)の方へと異動し(うつっ)てしまいやがった。



ふん!

さすが宦官(タマなし)、根性の無いことだ。



だがこれで、太后宮(ここ)においては俺が実質的な支配者ということになった。

主人である太后(おんな)は、じきに俺の下半身に依存するようになるからな。



あとは........



いや.......止めておいた方が賢明だ........



だが.......それでも........



分かっている。

理解はしている。

今のこの俺の立場は、秦(このくに)と秦王(あのガキ)の権威(ちから)あってのものだというのはな。



だがあの秦王(ガキ)の目付きは気に食わない.......



太后(ははおや)がいくら俺のことを絶賛しても気にも溜(と)めず、たかが一宦官と見下しやがったあの目。

なのに趙高のあからさまな世辞(べんちゃら)には上機嫌で耳を傾け、そのまま自分の部下に引き抜いていきやがった。



煩悶する俺に、心の中のもう一人の自分が囁(ささや)く。

「秦王(ガキ)が気に食わないなら、新しい秦王(ガキ)をこさえりゃあ良い」と。



それも.......有りかもな..........



ちょいと難しいが、決して無理な話でも無い。

年増だが子(ガキ)が産めない訳でも無いだろうし、上手くいけば秦(このくに)の絶対権力者に成り上がれる筈だ。



その為には、まず始めに多少で良いので俺自身にも何らかの権威付けが必要だ。

単に子(ガキ)が産まれたってだけなら、男子禁制の太后宮に潜り込んだ重罪人ってことになるからな。



太后(おんな)から秦王(むすこ)に何度も俺の評判を吹き込ませ、まずは侯の位あたりを得るようにするか。

そして領地を貰い、密かに私設の軍を育てる。

あとは機を見て乱を起こし、秦王(あのガキ)を殺っちまえば良い。



ククッ.......

面白いことになりそうだな........



気に入って頂けましたら、ご評価、ブクマ登録など頂けますと大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。